創元社は9月19日、『レクラム版 聖書人名小辞典』(ハンス・シュモルト著、高島市子訳)を発売した。人物名見出し2036項目、登場人物数約3500という充実の内容が、B6版のコンパクトなサイズに収められている。
ドイツのレクラム文庫は、岩波文庫が創刊時にモデルとした教養主義の枠ともいえる古典文庫。1978年出版の『レクラム版聖書事典』(未邦訳)は、ドイツでロングセラーを記録しているほど、そのクオリティには定評がある。
日本語版編集に際し、ドイツ語表記の名称を新共同訳に置き換え、50音順に並べ替えた。人物名だけでなく、部族・諸団体・神・天使・悪魔なども網羅的に収録されている。
実際に、「イエス」を引いてみると、見出しのすぐ隣には、「ヘブライ語のイエシュアもしくはヨシュアのギリシャ語形、『ヤーウェは救い』」と、名前の由来が分かりやすく記されている。人物の属性や、その人物が聖書においてどのような役割を果たしたのかなども、注釈で簡潔に解説されている。
キリスト教事典というと、大きくて重いイメージがつきもの。本棚から出してくるだけでも億劫に感じるかもしれない。だが、本辞典であればさっと本棚から取り出し、思い立ったときに必要な情報を手に入れることができる。
また、辞典としてだけでなく、カバンの中に入れて、移動時間に読む一冊としてもおすすめできる。同名異人、名前の持つ意味など新しい知識を得、登場人物を通して聖書を体系的に捉えることができそうだ。
本辞典は、赤地に箔押しの上品な装丁がなされ、赤と緑のスピンが2本付けられている。今年のクリスマスの贈り物にもぴったりな一冊ではないだろうか。
B6版判上製、316ページ、定価2592円(税込)。全国の書店、キリスト教書店で販売されているほか、インターネットや通信販売で購入もできる。詳細・問い合わせは、創元社営業部通信販売係(電話:072・966・4761、専用ページ)まで。