元英軍極東捕虜と遺族を日本に招き、英国人と日本人の和解のために尽力する支援団体「アガペ」(恵子ホームズ代表)が10月11〜26日の16日間、元捕虜らとともに日本各地を巡るツアー「心の癒しと和解の旅」を今年も行う。これまでに400人以上の元英軍兵士や捕虜遺族を日本に招待し、日本人に対する深い憎しみを持った何人もの英国人の心の傷を癒してきた。今年は、3人の元捕虜を含む遺族ら10人が参加する。
代表のホームズさんは三重県熊野市紀和町出身。あるとき、紀和町の人々が英兵戦没者記念碑を立派に建て替え、墓地がメモリアルガーデンとして大切に管理されていることを知った。
第二次世界大戦中、紀和町の入鹿銅山では300人の英軍極東捕虜が働かされ、16人が命を落とした。犠牲者の名前が刻まれた石碑をカメラに収めながらホームズさんは、そこで働いた捕虜や遺族を探したいと強く願うようになった。
91年10月、ロンドンのバービカンセンターで開かれた極東捕虜協会(FEPOW)の全国大会に参加した際、参加者は日本人のホームズさんを見るや罵声を浴びせた。遺族らの憎しみをみたホームズさんは、自分が彼らの心の癒しと和解のために遣わされたことを悟ったという。
92年、元捕虜を連れて日本を巡回するツアー「心の癒しと和解の旅」を開始。98年の天皇陛下訪英の際、日の丸に火をつけて抗議した元捕虜が同ツアーに参加し、完全に日本への憎しみがなくなったと、訪日後に満面の笑顔で証しした。
今年のツアーでは、13日に今回参加の元捕虜がいた「神戸ハウス」と呼ばれる捕虜収容所跡や、強制労働を強いられた神戸港を訪問。14日午後3時からは、日本フリーメソジスト・神戸ひよどり台教会で和解礼拝を行う。
15日には広島で原爆資料館を訪問。尾道、向島では地域の人々との交流や小学校訪問を予定している。
18日に三重県熊野市紀和町へ。19日には入鹿銅山で亡くなった捕虜16人の追悼式に出席。捕虜収容所跡や鉱山資料館などを巡る。
東京では24日午後6時半から東京・練馬区の聖書キリスト教会・東京教会でレセプションを開催。25日は英国大使館を訪問して、横浜市保土ヶ谷にある英軍墓地の追悼式に出席する。
ホームズさんは今回の訪日について、「ぜひ多くの教会に知っていただきたいですし、多くの人々に参加していただきたい。(彼らと)友達になってあげてください」と語り、地元の人々に各地のイベントへの積極的な参加を呼びかけた。また、「まだまだ日本を訪問したい人たちが沢山います」と、ツアー継続のためにも日本の教会からの経済的支援を求めている。