モントリオール世界映画祭は、その最高賞である審査員特別賞グランプリとエキュメニカル審査員賞を成島出監督の作品である『ケープ・ノスタルジア(ふしぎな岬の物語)』に授与すると発表した。同映画祭が1日、公式サイトで伝えた。
この映画の配給会社である東映は、公式サイトでこの映画について、「2014年映画最大の話題作!吉永小百合 × 成島出監督 共同企画で贈る、愛しく切なく、温かい物語」など紹介している。「作品の舞台は、海があり、花畑があり、穏やかな生活が日々営まれている、どこか懐かしさ漂う里。その岬の先端に立つ小さなカフェに集まる人々と女店主の心温まる交流を描く」作品で、原作は森沢明夫著『虹の岬の喫茶店』(幻冬舎文庫、2013年)。
この映画では、成島監督と共同で企画を行った吉永小百合がヒロインの岬カフェ店主・悦子を演じ、そのおいの浩司役を阿部寛が演じる。また、岬カフェの常連である漁師・徳三郎の娘・みどり役を竹内結子、悦子と浩司を支えるタニさん役を笑福亭鶴瓶がそれぞれ演じる。
第38回目を迎えた同映画祭は8月21日から9月1日まで行われた。エキュメニカル審査員は、36年間連続でシグニス(世界カトリック・コミュニケーション協会)とプロテスタントのインターフィルムによって任命されている。
世界キリスト教コミュニケーション協会(WACC)やシグニスが公式サイトで伝えたところによると、審査員の引用文では、『ふしぎな岬の物語』は「日本の沿岸にある村を舞台に、喪失・愛・友情や共同体という人生の大きな節目について描いた、優しくて、質の高い映画。ユーモアと深みがあり、この映画は人間を静かに、しかも穏やかに賞賛している。画像は非常に優れており、監督の確かさも保証付きで、映画もよく調和がとれている。その結末で、この映画はノスタルジア(懐かしさ)から離れて人生を抱きしめるものとなっている」と記されたという。
審査員はまた、ベルギー、フランス、ルクセンブルグを代表するベルナール・ベルフロワ監督の映画『メロディー』に審査員賞を授与した。
同映画について、審査員は引用文で「奮闘する若い女性が代理母になることを決意し、そして彼女は、長い間自分の子どもを欲しがってきたある女性実業家に受け入れられる。この映画は母であることのさまざまな面を鋭敏に探求しており、そして絆と母の責務の大切さを力強く肯定している。この映画には質の高い監督と対話そして演技がある」と評価した。
エキュメニカル審査員を務めたWACCのカリン・アクテルステッター総幹事は、審査員らもまた、「毎晩無料で公開上映が行われ、それによって誰もがこの映画祭に参加することができたことや、審査の後の質疑応答の時間や記者発表」が行われたことから、この映画祭を賞賛したと語った。
エキュメニカル審査員には、審査員長のデニス・ミュラー牧師(フランス・アルル)、ピーター・シーハン氏(オーストラリア・ブリスベン)、トニー・スペンス氏(米国・ワシントンDC)らが含まれていた。
なお、『ふしぎな岬の物語』の公式サイトによると、この映画は10月11日に全国ロードショーを開始する予定で、劇場前売券を発売中。詳しくは同公式サイトで。