成功した結婚には結婚式の大きさと結婚前の性的な関係とに関連があるという新しい研究結果を、米バージニア大学の「ナショナル・マリッジ・プロジェクト(National Marriage Project=NMP)」が明らかにした。
米デンバー大学のガリーナ・K・ローデス准教授(心理学)と、同じくデンバー大学の「結婚生活と家族研究センター」共同責任者の一人であるスコット・M・スタンレー教授により、「今日のヤングアダルトたちの間で、結婚前の経験が結婚してからの質にどのように影響するか」という調査が行われた。調査によれば、幸せな結婚生活を体験している人は、彼らの結婚式で多くの招待客を持ち、過去にロマンティックな恋愛関係が少なかった、という傾向があったという。
研究者たちは、過去に複数の恋愛関係を経験した人は、結婚生活において困難さを抱えると推測している。それは現在の配偶者を自分が以前交際していた人と比較してしまうためであり、配偶者に自分自身をささげることが、多くの経験を持った後では難しくなってしまう恐れがあるからである。
「多くの領域において、よりたくさんの経験を有することは良いこととされます。例えば仕事を得る際、より多くの経験を持っている方が、有力な候補者となることができます。しかしながら、結婚・恋愛の経験となると話は異なり、結婚前に恋愛経験がたくさんあるということは、質の低い結婚生活をもたらすということが研究で明らかになりました」
結婚前のロマンティックな経験には、性的行為や同棲も含まれる。結婚する前の関係から子どもを持つ女性は、結婚生活の質について低く評価したが、同じことが男性には当てはまらなかった。
結婚前に一緒に住んでいた人たちの中では、同棲を開始するに当たりよく考えた上で決断したカップルの方が、結婚前にこっそり同棲したカップルよりも幸せな結婚を報告した。
「結婚や夫婦間の幸福への一つ重大な妨げとなっているものは、今日、多くの人が恋愛・結婚関係において大切な一つひとつのステップをあまりにも軽視してしまっていることである、と私たちは考えています。例えば、セックスをして、一緒に住み始め、その後婚約をするか子どもを持つなどというように、これらの行動が潜在的に人生を変える結果をもたらすことになっている」とスタンレー教授は話す。
また、一般的に大規模な結婚式にはお金がかかるが、収入や学歴は差し置き、大規模な結婚式を挙げた人たちは、幸せな結婚を送っている。
高い質の結婚生活を経験していると報告した人は、結婚式の招待客が50人以下だった場合は31パーセントだが、51~149人だった場合は37パーセントに上昇、さらに150人以上の場合はほぼ半数の47パーセントであった。
研究者は、大規模な結婚式は、新婚夫婦が結婚生活で試練や難題に直面した際にサポートし、導くことのできる友人や家族の強力なネットワークを持っていることを示していると推測している。
「これは、映画『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』要因と呼ばれるかも知れないもので、この研究は、より大きな結婚パーティーを開くカップルが、高い質の結婚生活を報告する可能性が高いことを発見した」と、ナショナル・マリッジ・プロジェクトの責任者で、米バージニア大学のW・ブラッドフォード・ウィルコックス教授(社会学)は言う。「ここで一つの可能性としては、友人や家族の大きなネットワークを持つカップルは、結婚生活のさまざまな試練や難題において、より多くの助けや励まし、導きなどを得られるということです。注意していただきたいのは、これは結婚式のパーティーでたくさんのお金を費やせば良いという意味ではありません。あなたが大変なときに、良い友人や家族を持っているということです」
このデータは、米国立小児保健発育研究所によって資金を供給されている関係発達研究からのもの。この長期的な調査では、18~34歳の未婚の米国人1000人を対象に、2007年と2008年にわたり11回に及ぶインタビューを行った。ナショナル・マリッジ・プロジェクトでは、調査の期間に結婚した418人を研究対象とした。
調査結果から、スタンレー教授はいつか結婚したいと考えている独身者たちへアドバイスの言葉があるという。「結婚する前に行っていることが、将来、成功した結婚生活を築くことを形作っている、ということを覚えておいてください」