国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)の図書館が16日からスタートさせた企画展「誰も借りてくれない本フェア」が話題を集めている。一度も貸し出しされたことのない書籍を集めて展示するというこのユニークな企画は、図書館職員がツイッターで告知したところ、これまでに約1万9千回(20日現在)もリツイートされ、NHKや朝日新聞といったメディアでも取り上げられた。
読まれやすい新書の中でも、一度も貸し出しがなかったのは約860冊で、今回のフェアではそのうち約100冊を選んで展示している。展示中のもので最も古い書籍は1938年発行。図書館職員一人ひとりが、対象書籍から学生が興味を持ちそうな書籍1冊以上を選び、自ら考えたキャッチコピーとともに書棚に並べている。21日までに半数以上の63冊が借りられており、7月4日までの期間中に展示されたすべての書籍が借りられそうな勢いだ。
同図書館では、大学関係者以外の一般向けには貸し出しは行っていない。しかし、今回のフェアで問い合せが相次いだため、7月19日に行われるオープンキャンパスで1日限りのフェアを開催し、一般にも公開する予定だ。
「開催の反響が予想以上に大きくとても驚いています」と語るのは、このフェアを企画した図書館職員の相徳真理さんと紀平宏子さん。「なぜ今まで誰もこの本を借りなかったのかという利用者の声もあるほどです。もともとICU生は好奇心が旺盛で、本を読む学生が多いことも影響していると思いますが、スポットライトを当てれば読んでくれる人が多くいることが分かりました」と話す。今回のフェアは毎年開催している企画展の一つだが、対象書籍を広げた同様の企画を今後開催することも検討しているという。
現在、同図書館には約80万冊の蔵書があり、このうち約40万冊が館内の書棚に並ぶ。毎年約1万冊ずつ増えており、書棚に並ばない書籍は、利用者が蔵書検索システムから自動化書庫に出庫指示をし、専用書棚に取りに来て利用するかたちとなっている。
同大学の学生は、年間の平均貸し出し数が50冊近く、国内でもトップクラスの図書館利用率だ。図書館自体も、週刊朝日進学MOOK『大学ランキング』(朝日新聞出版)の図書館総合評価で、ここ3年間は全国1~2位をキープする高評価を得ている。