ベトナム・カトリック司教協議会は11日、ベトナムと中国の対立が続く南シナ海における最近の情勢に関して9日付の書簡をウェブページで公表し、「カトリック教会の社会教説を実行するべく、ベトナム・カトリック司教協議会は自らの使命において常に平和を促進する自らの道筋を示すとともに、昨今の対立を解決する上で平和と正義が実現されるよう願う」と述べた。以下、全文の日本語訳(非公式)。
南シナ海における最近の情勢に関するベトナム・カトリック司教協議会の書簡
2014年5月11日 パウロ・ブイ・ヴァン・ドク大司教南シナ海における最近の情勢に関して
1. ベトナムのカトリック教会は常に辛抱強く平和を促進し、反戦の立場を主張してきた。平和によって私たちが失うものは何もないであろうが、しかし戦争はすべてを破壊する。したがって、昨今のあらゆる紛争は対話の道筋によって誠実に解決し、両方の側から挑発的・好戦的で戦争ないし嫌悪を助長する性質を持つあらゆる振る舞いを排除する必要がある。中国政府はこの性質を持つあらゆる攻撃的な振る舞いをやめなければならない。故教皇パウロ6世の言葉を響かせると、「他者に対する敵対はもはやこれ以上あってはならない。もはやこれ以上、決して二度と・・・」(1965年の国連会議における演説)。平和が表されるのは平和のうちにおいてのみなのであり、それは正義の要求とは別ではなく個人の犠牲や寛容・慈しみと愛によって支えられる平和です」(1975年世界平和の日メッセージ)
2. ベトナム政府は、紛争解決において自らの外交に関する対話を支える政策に辛抱強いが、自国民と自国の利益を優先するという私たちの伝統的な価値がもつ原則に基づいて毅然とした態度をとらなければならない。これまで、全ての条約や協定は、隣国である両国間の、両国の共産党同士の、お互いの友好に対する尊重を示すことをその趣旨としていたが、現実には我が国の国益に資するものでは決してなかったばかりか、むしろそれらは我が国を危険へと導くだけである。
3. 名誉教皇ベネディクト16世の教説に教えられている通り、ベトナムのカトリックにとって、今こそが自らの愛国心を心から表す必要がある時である。「良いカトリックであることは、良い市民であることも意味する」。私たちの愛国心は、私たちが一生懸命に犠牲を払うとともに自国と自国民のために祈る時に示すことができる。そして私たちのはっきりした意識を持って、私たちの父なる国を危険から救うという招きに応える用意ができる。
4. ベトナム・カトリック司教協議会は各司教区に対し、2013年9月7日に教皇フランシスコによって行われた発意として、私たちが持っているものを漁民や傷ついた船員たち、そして沿岸警備員たち、中国海軍艦船の犠牲者全員と分かち合うために、全ての信徒が悔い改め、食べ物や飲み物の消費を減らし、買い物を制限するよう求められる。我が祖国のための全国祈祷日を捧げるよう求める。
カトリック教会の社会教説を実行するべく、ベトナム・カトリック司教協議会は自らの使命において常に平和を促進する自らの道筋を示すとともに、昨今の対立を解決する上で平和と正義が実現されるよう願う。
2014年5月9日
ベトナム・カトリック司教協議会会長
パウロ・ブイ・ヴァン・ドク
サイゴン大司教区大司教
(署名および捺印)