ルワンダのポール・カガメ大統領が、カリフォルニア州サドルバック教会で行われたルワンダ大虐殺20周年の追悼特別礼拝で、「ザ・ピース・プラン」という宣教活動を通じてルワンダを支援したリック・ウォレン牧師と教会員に感謝の意を伝えた。
「100万以上の命がルワンダ大虐殺で奪われたことを心に留めています。生存者の強さ、そしてルワンダを存続させたルワンダ人の回復力を称えます」と、カガメ大統領は26日の礼拝で述べた。
1994年のツチ族と穏健派フツ族に対する大虐殺は、「何十年にも渡って意図的に壊されていたルワンダの社会構造を完全に破壊しました」と大統領は語ったと、その関係者筋は伝えている。「この20年間、新しい国家としての我々の仕事は、社会的結合を復活させ、ルワンダ人の誇りを取り戻すことでした」
カガメ大統領はツチ族出身で、彼の反乱軍が大虐殺を終結させて以来、ルワンダのリーダーとして活躍してきたが、11年前にウォレン牧師の著書『健康な教会へのかぎ』(原題:The Purpose Driven Church)を読んで、彼とサドルバック教会のことを知った。大統領はこの本に大変感動して、ウォレン牧師に手紙を書き、ルワンダを是非とも最初の「健康な」国家にし、サドルバック教会の「ザ・ピース・プラン」を実践する最初の国家にして欲しいと援助を要請した。
その結果、サドルバック教会は2千人以上の教会員をルワンダに派遣した。
ルワンダはかつてはカトリック教徒が大半の国であったが、カトリック教会の聖職者の多くが虐殺者らと共謀したと非難されたため、大虐殺後、プロテスタントの福音派教会が伸び始めた。
「大虐殺中、ほとんどの教会がその聖なる使命を果たしませんでした」とカガメ大統領は語ったと、サドルバック教会側は発表。「ルワンダ人は教会に助けを求めたのに、裏切られました。しかし今日、状況は変わっています。サドルバック教会の皆さん、意義のある支援をして下さったことに感謝しています。信仰が、多くのルワンダ人にとって再び慰めになりました」
ウォレン牧師は、ローマカトリック教徒であるカガメ大統領が作った大統領諮問委員会の一員である。
「人間としての尊厳と大志は、全ての人間に共通するものです」と大統領。「ルワンダでは、人間の状態がもうこれ以上落ちることできないくらい底をつきました。我々は上がるより他になかったのです。今過去を振り返って、我々はもっとよい生活をする権利があるし、またそれが可能だと思います」
カガメ大統領に敵対する人々は彼のことを権威主義的だと非難するが、ルワンダの経済成長をもたらしたのは彼だと広く認められており、2010年世界銀行「ビジネス環境の現状」レポートでは世界トップの改革者として挙げられている。
「ポール・カガメ大統領のような指導者には会ったことがありません。彼は異例な国の異例な指導者です」と、ウォレン牧師は大統領を教会員たちに紹介した。「ルワンダという国が灰と化したときには、人々はもうダメだと言いました。しかしそうではありませんでした。ルワンダは批判的な人たちを恥じ入らせました。ルワンダはゆるしの道を選んだのです。苦しみを否定してはいません。ただ共に働き、前進しようとしているだけです」
ウォレン牧師は、ルワンダの前進は神のおかげだと語った。「その暗黒の時代に世界が背を向けた国を神は選んで、新しい模範を世界に与えることにしたのです」
過去を忘れてはならない、とウォレン牧師は付け加えた。「2千年以上前、イスラエルという国が戦争によって引き裂かれ、誰もがこの国はおしまいだと思いました。しかし神はビジネスの指導者、政治の指導者、宗教の指導者を使って、イスラエルを復興しました。神は、国を再建するにはこれら3つの部門が必要だと知っていたからです。同じように、ルワンダも再建されています」
ウォレン牧師の妻ケイ夫人も、この礼拝で語った。「私たちが最初にルワンダを訪問したときは、何をするのか、何をしたらいいのか、全く分かりませんでした。でも私たちに理解できるものを持っていきました。それはキリストの愛です」とケイ夫人。
サドルバック教会の「ザ・ピース・プラン」の「ピース(PEACE)」は、「和解を促進し(Promote reconciliations)、奉仕する指導者を育て(Equip servant leaders)、貧しい者を助け(Assist the poor)、病人を世話し(Care for the sick)、次世代を教育する(Educate the next generation)」という意味の英文の頭字語だ。このプログラムはクリスチャンに、5つのグローバル悪――自己中心的なリーダーシップ、極貧、病気の蔓延、非識字――を撲滅するよう呼びかけている。