フランスのアルプス山脈に、世間から隔絶された場所がある。グランド・シャルトルーズ修道院。沈黙と祈りの日々を送る修道士の生活を初めて紹介するドキュメンタリー映画『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』が、7月12日から東京で公開される。
監督のフィリップ・グルーニングが撮影を申し込んだのは1984年。修道院から許可が下りたのは16年後。条件は、音楽なし、ナレーションなし、照明なし。中に入れるのは監督だけ。
撮影に1年、編集に2年、構想から21年かけて完成した映画は、各映画祭で絶賛された。サンダンス映画祭審査員特別賞、ヨーロッパ映画祭ベストドキュメンタリー賞などを受賞している。
本作が公開されたのは2006年。世界公開から9年を経た今年7月12日に、日本で初めて上映される。日本語の予告編も作成され、動画サイト「YouTube」で見ることができる。
■ 『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』予告編
映画のコピーは「音がないからこそ、聴こえてくるものがある。言葉がないからこそ、見えてくるものがある。」
1084年に設立されたグランド・シャルトルーズ修道院は、カトリックの中でも厳しい戒律で知られている。1960年代に2人のジャーナリストが内部に入ることを許されたことがあるものの、修道士たちを撮影した映像はこれまでなかった。
修道士たちは何世紀にもわたり同じ生活を送ってきた。俗世間から完全に隔絶された山深い場所に建つ修道院で祈りを捧げ、一生を清貧のうちに生きる。個人で唯一の持ち物は小さなブリキの箱。会話が許されるのは日曜昼食後の散歩の時間だけだ。
映画は静寂の中、沈黙と祈りと自給自足の生活を送る修道士たちの姿を追う。撮影に照明を使っていない。音は礼拝の聖歌だけで、一切の音楽をつけず、ナレーションも入れられていない。自らが修道院体験をしている感覚に包まれる。
7月12日(土)から、東京・岩波ホールをはじめ全国で順次公開の予定。
■『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』公式サイト
http://www.ooinaru-chinmoku.jp