日本基督教団の部落解放センターが「部落解放方針をもう一度読む」をテーマに一泊研修会を2月23日に滋賀県の同教団近江平安教会で開催する。
研修会のプログラムは、開会礼拝をYMCA元リーダーで近江兄弟社小学校副校長の鳥井新平氏が担当。「現状認識 部落解放方針に従って」とのタイトルで同教団いずみ教会の福田鳥巣氏が発題。南住吉教会牧師の岡本拓也氏がコメントをする。司会は、同センター活動委員の川上穣氏だ。草津教会牧師の宮田譽夫氏が閉会礼拝をつとめる。
研修会を呼び掛けた川上氏は「解放運動は歴史的な分岐点に来ている」との見解を示し、研修会の案内で「『部落解放方針』が定められて13年目になりましが、この間に運動はどう進んだのか、何ができて、何ができていないのか、今、何が必要なのか、センターの現状認識を問う必要があります」と述べている。
今回の研修会では「方針」を読み返し、そこから見えてくるセンターの「今」を共に考えていくという。川上氏はプログラムのマンネリ化、活動者の高齢化、次世代への継承をどうするか、などのセンターが抱える課題を挙げ、参加者とともに検討したいという。
部落解放センターによると、教団常議員会が2000年7月12日に「教団部落解放方針」を可決した時期に、同方針を巡って座談会が開催された。座談会では「教団では1970年を前後して様々な問題提起がありました。中には消えていったものがありますが、訴え続けられているものもあります。部落解放はその一つです。その訴えが『方針』に至りました。その意味で教団史として意義を持っています」「これまで、『教団は部落解放同盟ベッタリではないか』と何度も聞かされてきました。繰り返し『そうではない』と言ってきましたが、『方針』確立でそのことがはっきりしました。『方針』は教団固有のものです」などの意見が述べられていた。
方針では取り組みとして、各教区や教会、また、その置かれている地域の現状をしっかりとふまえ、地に足のついたキメの細かい取り組みを各地で実践していくために「部落解放全国活動者会議」を開催するとしている。また、部落差別に問題意識を持つ人々の育成するために、部落解放信徒講座や部落解放青年講座を開催、キリスト教学校・施設での部落解放教育の推進、神学生の部落解放実習の推進を行うなどとしている。
部落差別に対する教会の取り組みの推進として、「方針」では教団の全国の教会での「部落解放への祈り」の設定、「聖書の読み方と部落解放」協議会の開催、部落差別の現実に届く礼拝や説教の追究、部落差別問題にしっかりと向き合う牧会の追究、書籍『部落差別と闘ったキリスト者』の出版ほか各種啓発冊子の発行、狭山差別裁判ほか日本社会での部落解放の諸課題への取り組みの推進、各種の反差別署名運動が挙げられていた。
1974年6月の「豊中教会代務牧師部落差別発言」を契機として、1975年5月15日に日本基督教団は、大阪府、大阪市の立ち会いのもと、部落解放同盟中央本部、同大阪府連合会、同東京都連合会から糾弾を受けた。その後教団は第18総会期第3回臨時常議員会(1975年7月)で部落差別問題特別委員会の設置を決定した。
同研修会の参加申し込みは2月19日まで、参加希望者は部落解放センターに申し込むことになっている。部落解放センターは部落解放方針の全文を公開しており、こちらで読むことができる。