世界教会協議会(WCC)は14日から18日までスイスボセイで開催された協議会において、「発見者の権利」を廃棄する声明を発表した。WCCエグゼクティブ委員会は、「『発見者の権利』はイエス・キリストの福音に完全に反するものである」とする声明文を発表した。「発見者の権利」はアメリカ大陸の土着民族をキリスト教の名の下に奴隷化することを正当化するために用いられてきた。
1452年、当時のローマ教皇ニコラウス五世は、アメリカ大陸に住む先住民族であるインディアンの土地を侵攻し、殺害することを許可する教皇勅書を発行した。14世紀には、欧州の伝統ある諸教会の一部で、ノンクリスチャンの人間を拘束し、支配し、彼らの持ち物を押収してクリスチャンの君主のものとすることを正当化する文書が出されていた。
他にも、アメリカ大陸を発見したコロンブスについて「発見と支配、従属下、遠隔の地を占拠する」ことについて書かれた歴史的な文書が残されている。スペイン、ポルトガル、英国、フランス、オランダなどがインディアンを支配下に置くことを認める教皇勅書を政治的に使用してきた。またこの教皇勅書は米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの法律にも歴史的に導入されてきた。
それゆえにエグゼクティブ委員会の声明文では「世界の土着民族の現状は、法的な慣例である発見の教説に基づく土着民族を従属させることを合法化させる政策に基づく結果生じたものである」と述べられた。声明文では、同教説による「キリスト教徒は土着民族の土地を侵攻し、土着民族を支配する権利を享受する」ことを現代のキリスト教会は否定することがはっきりと明示された。
エグゼクティブ委員会の声明文では「世界の土着民族の現状は、法的な慣例である『発見者の権利』に基づく土着民族を従属させることを合法化させる政策に基づく結果生じたものである」と述べられた。声明文では、同教説による「キリスト教徒は土着民族の土地を侵攻し、土着民族を支配する権利を享受する」ことを現代のキリスト教会は否定することがはっきりと明示された。
「発見者の権利」は人権を濫用するものであり、キリスト教会は「土着民族の生活や伝統文化、領土を保護する」ことが明確に示された。これまで土着民族の権利を保護するために多くの教会がこの教説を無効にするための努力を重ねてきた。声明文では、米国、カナダの諸教会において教説の無効化のための努力が重ねられてきたことが言及されている。「発見者の権利」は第11回国連先住民族常設フォーラム(UNPFII)のテーマにもなっており、エグゼクティブ委員会では、諸教会が国連で開催される議題に注意を払う必要があると呼び掛けている。
UNPFIIは5月7日から18日までニューヨークで開催される予定である。同フォーラムの開催を考慮して、WCCエグゼクティブ委員会の声明文では、諸教会および超教派組織がUNPFIIへ積極的に参加し、フォーラムで進展が見られるように促していくことを呼びかけている。
声明文では各国政府に対し、土着民族に影響する政策、規制、法律について、国際規約、特に国連先住民権利宣言および国際労働機関(ILO)の先住民・種族民条約(第169号)を順守するように要求している。
声明文を通して、WCCは土着民族の権利を保護し、加盟諸教会に対し、それぞれの国、教会史における土着民族に対する接し方を顧みて、土着民族に関して諸教会が直面する課題についてより深い理解をしていくように呼び掛けている。