昨年5月にジャマイカキングストンで開催された国際エキュメニカル平和会議(IEPC)における課題のひとつとして土着民族固有の宗教的背景の中に囲まれたキリスト教徒のあり方について議論がなされた。
議論の結果を受けて、今月6日から9日にかけてアルゼンチンのブエノスアイレスでアルゼンチン福音主義教会連盟(FAIE)と中南米教会協議会(CLAI)が合同でWCC宗教間対話・協力プログラムと共に協議会を開催した。
同協議会には、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、カナダ、エクアドル、フィリピン、グアテマラおよびニュージーランドから12人の諸教会代表者らが出席した。
同協議会の議題の一部は、2004年のWCC宗教多元性とキリスト者の自己理解に関する報告書において一部の枠組みが既に形成されてきた。同報告書において、宗教多元世界におけるキリスト者の自己理解をどう促進させていくかがまとめられている。
キリスト者同士でユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教および仏教との関係に関して協議するために今回の協議会が開催された。今回の会議では、キリスト者同士で宗教多元社会における霊的に根付く土着宗教の伝統に関して焦点を当てて議論がなされた。
宗教多元社会において、キリスト者の自己理解が土着民族の伝統宗教下における生活背景の中で考慮に入れられる必要性が確認された。土着宗教はそれぞれの地域の人々の生活に鋭い洞察を与えており、人類の存在や創造の意味との関係性の上でキリスト者の自己理解との関連付けができるという。
CLAIの土着民族への宣教コーディネーターを務めるミグエル・サラニック氏は「神が全知全能であることを認めることのできる文化はありません。しかしすべての人は神性の一部については認知できています」と述べた。
マヤ教では神は超越者であると理解されている。サラニック氏は「マヤ教信者の神理解は男性と女性、夜と昼、命と死、光と闇という現実世界の双極性を含有しています。
それゆえに、神は母でもあり、父でもあり、女性でも男性でもあり、霊でも肉でもあるのです。これらのすべての要素が関連しています」と説明した。
フィリピン教会協議会聖職者のアレクサンデル・ワンダグ氏は、フィリピンの土着民族への宣教について、土着民族にキリスト教がどのように貢献することができるかを尋ねるとき、大きな挑戦を受けることを証しした。このように尋ねるとき、フィリピン土着民族らは、キリスト教の教会とその教会員がかつで土着民族に犯した罪について悔い改めることを要求してくるという。
会議において過去数世紀にわたって政治的宗教的権威によって多くの土着民族になされた不正、経済的な重荷を負わせていることが、キリスト教諸教会において、正義の意味について再び理解し、検討していかなければならない課題であることが確認された。