日本テレビのドラマ『明日、ママがいない』に抗議をしていた赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」の設置病院である慈恵病院(熊本市)が、同病院の公式ホームページに、同ドラマの問題点や同ドラマの放送中止を求めた理由などをまとめた詳細な見解を公開した。
見解で同病院は、昨年11月にTBSで放送されたドラマ『こうのとりのゆりかご』のケースを紹介。病院側とテレビ局側で「議論が白熱し決裂しかけたことも」あったというが、実際に脚本家や制作スタッフが病院を訪れ現場の人間を取材したことで、最終的には「若い人たちに『こうのとりのゆりかご』を知っていただくという意味でもすばらしい作品を作っていただいたと思います」という結論に至る作品となったことを説明した。
しかし、『明日、ママがいない』の場合は、同病院や関係者への取材がなかったため、「ドラマに感動的な部分や考えさせられる部分がありながら問題箇所があるのは現場の取材が少なかったということも考えられます。脚本家や番組スタッフの方が直接児童養護施設に足を運び、お子さんの姿に接したりお話をお聞きになれば、つらい内容だとしても必要性が強いということで許容できるものになっていたのではないでしょうか」と指摘した。
この他、同ドラマについて「児童養護施設出身者は問題ないと言っている」という声があることについては、「施設には多くのお子さんがいらっしゃいます。ポストと呼ばれても意に介さないお子さんもいらっしゃるかもしれません」としつつも、「虐待を受けたお子さん達の心は傷つきやすく私たち大人には一層の配慮が求められます」と言う。実際に、施設職員から「ドラマを見て過呼吸で倒れた子すらいました」という声があったことを紹介した。
同病院はこのほか、▽はじめに、▽第1回放送分の問題点について、▽「フィクションだから、いいのでは?」、▽取材して頂きたかった、▽「児童養護施設内での虐待など、施設のマイナス部分を出してはいけないのか」、▽「児童養護施設出身者は問題ないと言っている」、▽「テレビ局や俳優を傷つけている」「放送中止は、やり過ぎでは?」、▽「名誉棄損で訴えるべきでは?」、▽「売名行為では?」、▽今後のお願い、などの項目で詳細な見解を出している。
慈恵病院のドラマ『明日、ママがいない』に関しての見解はこちら。