公益財団法人日本YWCA(東京都千代田区、俣野尚子会長)は、昨年12月26日に安倍晋三首相が靖国神社を参拝したことについて、抗議する声明を同日発表した。
日本YWCAは声明で「安倍政権は発足後、与党議員の数に物を言わせて強行に『戦争する国家づくり』を推し進めています」と指摘。「今回の首相の靖国神社参拝もまた、『戦争する国家づくり』の布石であり、私たちは見過ごすわけにはいきません」としている。
以下、日本YWCAによる声明全文。
安倍晋三首相は政権発足から1年となる2013年12月26日、靖国神社に参拝しました。私たち日本YWCAは首相の靖国神社参拝に強く抗議します。
安倍政権は発足後、与党議員の数に物を言わせて強行に「戦争する国家づくり」を推し進めています。「国家安全保障会議の創設関連法」成立、「特定秘密保護法案」の強行採決、武器輸出三原則をなし崩しとする「国家安全保障戦略」の決定と「自衛隊による韓国PKO部隊への弾薬提供」、沖縄県知事へ迫る「辺野古への新基地建設の承認」等、国会閉会中の閣議決定を含め、十分な審議や国民への説明責任を果たさないまま強行し、集団的自衛権の行使を推進して憲法第 9 条を形骸化しています。これらの安倍政権の動きの中にあって、今回の首相の靖国神社参拝もまた、「戦争する国家づくり」の布石であり、私たちは見過ごすわけにはいきません。
かつて靖国神社は、日本のアジア侵略と軍国主義の精神的支柱でした。現在もその根本的精神は変わっていませんし、安倍政権は靖国神社という宗教施設を利用して「戦争する国づくり」に向けた国民の思想づくりを行っています。現職の首相が靖国神社に参拝することは、日本の侵略戦争を美化し、肯定する行為であり、さらには日本国憲法の「戦争放棄」「信教の自由」「政教分離」の原則および 99 条の憲法遵守義務違反です。
日本YWCA は、アジア太平洋戦争の歯止めになり得なかったことを深く反省して、戦後は日本の加害の歴史を直視し、青年たちのアジア諸国への訪問・交流・協働プログラムを通して次世代の平和構築に力を注ぎ、また日本国憲法をまもる活動にも取り組んできました。その立場に立って日本YWCA は、日本政府にはアジア太平洋戦争の加害に対する揺るがない反省をもって、近隣諸国との信頼回復のスタート地点に立ち、非暴力による平和構築をする責任があると考えます。それこそが、日本国憲法前文に記された日本政府がなし得る平和構築であり、真の国際貢献だからです。
よって日本YWCA は、首相の靖国神社参拝に抗議するとともに、日本政府が歴史の事実に向き合って、国政を行われることを強く求めます。