神の子、そして世界の救世主として世界中で何億人もの人々に崇拝されているイエス・キリストは、100年以上にわたり、映画やテレビドラマにおいて描かれてきた。ガリラヤの大工としての姿から、キリスト教の中心人物としての姿まで、あごひげと長いローブをまとい演じた7人の俳優をここで紹介する。
ディオゴ・モルガド(Diogo Morgado、2014)
来月アメリカで上映が予定されている最新の映画『サン・オブ・ゴッド』でイエス・キリスト役を演じるポルトガル人俳優ディオゴ・モルガドは、イエス・キリスト役としてはすでに何百万人の人々にとってお馴染みな存在となっている。なぜかと言えば、同映画の元となった人気ドラマ「ザ・バイブル」でイエス・キリスト役として登場していたからだ。同ドラマの続編として放送される映画『Son of God』で神の子イエス・キリストを演じるモルガドは、同ドラマでの名演で称賛を受けているばかりではなく、その端正な容姿でも多くのファンを獲得している。
ジェームズ・カヴィーゼル(James Caviezel、2004)
クリスチャン映画の中で最も残酷なシーンを収録していると言ってもよい映画『パッション』(原題:The Passion of the Christ)は、メル・ギブソン監督によって制作され、俳優ジェームズ・カヴィーゼルが、拷問され磔にされるキリスト役で登場する。カヴィーゼルは同映画のイエス・キリスト役で数回、各映画賞にノミネートされ、その物議を呼ぶ役柄により1つの賞を受けている。映画自体もそのストーリーは一般的に称賛されているが、批評家はその露骨な暴力描写のショックを乗り越えることができないようだ。映画評論家のロジャー・イーバート氏は、同作品を称えている一方で、「『パッション』は、私が今まで見た映画の中で最も暴力的な映画です」としている。批評家達は、アメリカ映画協会が同映画をNC-17指定(17歳以下鑑賞禁止)にせずに、R指定(17歳以下の鑑賞は保護者同伴が必要)にとどめたのは、映画の主題がイエス・キリストであったためだろうと考えている。
ヘンリー・イアン・キュージック(Henry Ian Cusick、2003)
超人気ドラマ『Lost』のスター俳優、ヘンリー・イアン・キュージックは、映画『新約聖書 〜ヨハネの福音書〜』(原題:The Visual Bible: The Gospel of John)でイエス・キリスト役を演じている。同映画は聖書におけるキリストの人生と奉仕の姿を非常に忠実に描いているため、鑑賞者達の最もお気に入りの映画の1つである。製作費1千万ドルを掛けたこの映画は、聖書協会が翻訳を手掛けた聖書『Good News Bible(GNB)』に基づいており、チケット販売により4百万ドルを超える総収益をあげた。2004年には、MovieGuideから「人々を最も鼓舞する映画」の賞を受賞しており、MovieGuideは同映画について「目を見張る、よく監督され、よく演じられた、ヨハネによる福音書を一語一語よく表現した作品」と評価している。
ロバート・パウエル(Robert Powell、1977)
テレビドラマ『ナザレのイエス』(原題:Jesus of Nazareth)でイエス・キリストを演じた英国人俳優ロバート・パウエルは、その演技で最優秀俳優賞にノミネートされたこともある。結局は受賞は逃したものの、イギリスのテレビ番組『The Bible Series』での演技でも多くの称賛を受けた。
マックス・フォン・シドー(Max von Sydow、1965)
アカデミー賞5部門でノミネートされた『偉大な生涯の物語』(原題:The Greatest Story Ever Told)では、スウェーデンの俳優マックス・フォン・シドーが記憶に残るイエスを演じた。鑑賞者達には「力強いイエス」という印象を与えた同映画だが、評論家達の間では、チャールトン・ヘストンやアンジェラ・ランズベリー、ジョン・ウェインなどといった著名俳優人達が登場したことでもっぱら注目を集めた。
ジェフリー・ハンター(Jeffrey Hunter、1961)
『キング・オブ・キングス』(原題:King of Kings、1961年制作)では、ジェフリー・ハンターがイエス・キリストを演じている。同映画は多くの人々を楽しませる映画ではあったが、当初は映画作品としてはあまり高く評価されなかった。ハンターは、その若々しい容姿(当時35歳)から、当時配給されていたティーンエイジ(10代)映画シリーズ『心霊移植人間』(原題:I WAS A TEENAGE WEREWOLF)、『怪人フランケンシュタイン/生きかえった死体』(原題:I WAS A TEENAGE FRANKENSTEIN)と掛けて、「私は10代のイエスだった(I was a teenage Jesus)」などとからかわれた経験を明かした。一方、同映画でイエスが十字架に磔けにされる場面では、イエス演じるハンターの胸毛が見え、試写会の参加者から不快感を感じると指摘され、撮り直すエピソードもあった。
H・B・ワーナー(Henry Byron Warner、1927)
チャールトン・ヘストン主演の映画『十戒』(原題:The Ten Commandments)で知られる著名映画監督セシル・B・デミルは、映画『キング・オブ・キングス』(原題:The King of Kings、1927制作)の制作に本当に真剣に取り組んだことが知られている。それは、制作期間中は聖書の教えに反することを行わないことを主演俳優に契約させたという程の徹底ぶりだったという。この無声映画の中で、H・B・ワーナーがイエス・キリスト役で出演しているが、弟のJ・B・ワーナーが亡くなったためその代役として出演したとされている。H・B・ワーナーは、『キング・オブ・キングス』の約30年後に制作される『十戒』でもアミナダブ役で出演している。