―「神が私たちの味方であるなら、誰が私たちに敵対することができようか」(ローマ8章31節)
神を味方につける ―「ハウ」ではなく「フウ」―
神を信じない人間の戦いは、いつも方法論(ハウ)に終始せざるを得ない。「どうしたら勝てるのか?」という策略にのみこだわる。
でも、人間の浅知恵はたかが知れている。世界中の誰一人として、明日何が起きるか知っている者はいない。いや、一時間後に何が起きるのかもわからない。いや本当は、一秒後に起きることも知らないのだ。東日本大震災が、何年何月何日何時何分にどこで起きるかを正確に予測できた人は、世界中に誰もいなかった。誰もが極めて不正確な予想で生きているにすぎない。
けれども、神を信じる者は、神を味方につけることができる。神が味方なら絶対に勝つことができる。「神がわれわれの味方であるなら、一体誰がわれわれに敵対することができようか」と聖書に書かれている通りである。全知全能の神は、「すべてを知っていて、どんなことでもできる」お方であるからである。
だから、誰(フウ)が自分の味方なのか。これが勝利の決め手である。神を信じると言いながら、神を味方につけず、自分の策略(ハウ)に終始しがちである。でも、神を無視して自分の肉なる力で戦うなら、一時的に勝利しても、最終的には必ず敗北する運命にある。
「戦いに勝つ道」は、第一に、神の命令を聞いて恐れずに勇敢に戦うこと。第二に、神の指揮に忠実に従って賢く戦うこと。第三に、最後まで油断しないで神とともに雄々しく戦うこと。
われわれの第一の敵は「サタン」であり、目に見える人間ではない。肉なる人間を利用して背後から操っている「サタン」である。われわれの第二の敵は「この世」であり、人々の常識的考えである。「ヒューマニズム」という美名に隠れて、神の意志に逆らう人々の思いである。われわれの第三の敵は「自分」であり、あわよくば神を利用し、他の人を犠牲にしてまでも自分の利益を得ようとする肉なる思いである。
われわれの唯一の味方は、「万軍の主・イエス」である。いつもイエスを味方につけていればよいのである。
ある時、大手外資系顧問会社から国際的大型プロジェクトの法的検討とその承認を求められた。検討した結果、それは巧妙に仕組まれた脱税スキームであった。しかし一流銀行と大手会計事務所で練りに練ったスキームだから、税務署にも脱税とはわからないのではないかと思った。聖書を読んで祈った時、その思いはサタンの誘惑であることが分かり、「法的に問題があるので承認できない」と依頼者に伝えた。
一週間後、銀行と会計事務所と相談した依頼者は、スキームを改正して再び持ち込んできた。「あなたは保守的すぎる!」と関係者にきつく非難された。あまりに熱心な関係者に同情して、承認してしまおうかと思った。聖書を読んで祈った時、「人々の思いを神の意思に優先させてはいけない」と悟り、再び承認を拒絶した。
一週間後、またまた改正されたスキームが持ち込まれた。脱税の本質は変わらないが、安全度は飛躍的に高まっている。それを承認すれば私は多額の報酬を得ることができる。だが、いくら祈ってもイエスのゴーサインは出なかったので、三度目の承認拒絶をした。
かんかんに怒った依頼者は、大声で怒鳴って席を立った。そして、私を解任して、他の弁護士から承認を取ってスキームを強行した。以後、その依頼者から一切仕事は頼まれなくなった。長年の大手顧問会社だったので、私の収入は激減した。でも、神に従ったので、心には平安があった。三度も承認拒絶したことを、一度も後悔しなかった。
しばらくして、そのプロジェクトが当局から脱税であると判断された。この時ほど、「神に従ってよかった!」と思ったことはなかった。やはり、神はすべてを知っておられたのだ。その後、さまざまな理由で、依頼者の担当者は解雇、銀行は一時業務停止、弁護士は所属事務所を辞職、会計事務所は解散に追い込まれた。
なんと、信頼を回復したのか、その依頼者から再び私に仕事が来るようになった。
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佐々木満男(ささき・みつお)
国際弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。インターナショナルVIPクラブ(東京大学)顧問、ラブ・クリエーション(創造科学普及運動)会長。
■外部リンク:【ブログ】アブラハムささきの「ドントウォリー!」