ペンテコステの恵み
使徒の働き2章1~13節
[1]序
今回は使徒の働き2章1~13節を中心に、父の約束(1章4節)が成就し、「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき」(1章8節)と主イエスが約束なさっていることが現実となっている様を見て行きます。
[2]何が起こったのか(1~4節)
(1)その中心
この箇所が指し示す中心は、使徒たちをはじめ百二十名の人々が主イエスのことばに基づき待ち望んでいた「父の約束」が成就した、一事です。ペンテコステの恵みは、約束を成就してくださる神の真実さに根ざしています。
(2)その表現(2、3節)
「風」(エゼキエル37章9~14節など)、「炎」(出エジプト3章2節以下)は、旧約聖書において神の特別な臨在を示すため用いられています。
「炎のような」。炎そのものでなく、それにより指し示すものが大切。人々が耳で直接聞くことができた確かなこと。目で確認できた確実な出来事。その出来事の確実性を訴えています。
(3)その内実(4節)
2節と3節が現象を描くのに対して、4節では出来事の内実を明らかにし、聖霊ご自身の主導権を強調しています。「神の右に上げられたイエスが、御父から約束された聖霊を受けて、今あなたがたが見聞きしているこの聖霊をお注ぎになったのです」(2章33節)。主イエスこそ、すべての恵みの創造者です。聖霊ご自身、教会が様々な現象ではなく、主イエスご自身のみに目を注ぐよう導かれます。
聖霊に満たされた人々が語った内容、11節の後半から明らかです。「あの人たちが、私たちのいろいろな国ことばで神の大きなみわざを語るのを聞こうとは」
聖霊に満たされた人々は、「神の大きなみわざ」を語ったのです。主イエスの生涯、十字架と復活こそ、「神の大きなみわざ」の頂点です。主イエスの復活の証人として生かされる人々は、この「神の大きなみわざ」の中に繰り込まれているのです。
[3]人々の反応(5~13節)
(1)人々の背景
「天下のあらゆる国から」(5節)、9~11節。ペテンテコステの恵みは、全世界の人々とかかわり、世界宣教の備えがなされています。
(2)人々の反応、判断
驚き(6、7、12節)。
(3)13節に見る判断
ペテロの反論(15節)と宣教。
[4]結び
父なる神は真実なお方で、聖霊のバプテスマを授けるとの約束を成就なさったのです。人々の判断が分かれる中で、聖霊に満たされたペテロたちにより宣教の業は進められました(Ⅰコリント1章21~24節)。
私たちの歩みに導きを求めつつ。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。