エルサレム教会の歩み
使徒の働き2章43~47節
[1]序
今回は、使徒の働き2章最後の部分を通して、エルサレム教会の姿を見、そこから私たちの歩みについて教えられたいのです。エルサレム教会は、「心を合わせ、祈りに専念していた」(1章12節)百二十名の人々を中核に、使徒ペテロの宣教に応答し、悔い改め、バプテスマを受けた人々により構成されていました。
エルサレム教会の生き方について、2章42節では、
① 使徒たちの教えを堅く守る
② 交わりをする
③ パンを裂く
④ 祈りをする
と4つの点に要約しています。このような土台に立ち成長して行く教会の姿を、43節から47節の箇所で描いています。
以下3つの点を見て行きます。
[2]周囲の人々との関係
(1)「一同の心に恐れが生じ」(43節)
この恐れの思い故、人々は誕生したばかりの教会を滅ぼそうとしないのです。教会は見えざる御手に導かれ成長し続けます。
(2)「すべての民に好意を持たれた」(47節)
エルサレムの指導者は、4章1節以下や5章17節以下に見るように、使徒たちを迫害し、教会に敵意を持ちます。それにもかかわらず、教会は「神を賛美し、すべての民に好意を持たれた」のです。
(3)「主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった」(47節)
参照5章13、14節、「ほかの人々は、ひとりもこの交わりに加わろうとしなかったが、その人々は彼らを尊敬していた。そればかりか、主を信じる者は男も女もますますふえていった」。
[3]教会の交わりの実践
(1)それぞれの必要に応じて
それぞれの必要に応じて、互いの賜物をわけ合うことにより教会の交わりは深められて行きます。
(2)食事をともにし
宮に集まると共に、各家庭の大切さ。礼拝と食事を共にすることの深い結びつき。各自の食卓で主イエスが主人、この事実こそエルサレム教会の交わりの実践。
[4]結び
エルサレム教会の姿を、「神を賛美し」とルカは描いています。このことばは、ルカ2章13、20節、19章37節で印象深く用いられています。
ルカの福音書は、「いつも宮にいて神をほめたたえていた」と結ばれています。参照使徒3章8、9節、「おどり上がってまっすぐに立ち、歩きだした。そして歩いたり、はねたりしながら、神を賛美しつつ、ふたりといっしょに宮に入って行った。人々はみな、彼が歩きながら、神を賛美しているのを見た」。
エルサレム教会を導かれたお方が、私たちの大牧者であることを覚えて、これからの歩みの導きを求めて行きます。
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宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。