シメオンとアンナ
ルカ2章21節から38節
[1]序
今回は、前回味わったルカの福音書2章8節から20節に引き続き、2章21節から38節を読み進めていきましょう。新しさと継続が結びついていることを教えられます。この箇所では、律法に基づき幼子をささげるヨセフとマリヤの姿を見ます(21~23節)。幼子イエスを待ち望んだメシア・救い主として迎える、シメオンとアンナの姿を通して主イエスによる救いの豊かさを味わいましょう。
[2]シメオンを通して
(1)シメオンの特徴
シメオンについて、「この人は正しい、敬虔な人で、イスラエルの慰められることを待ち望んでいた」(25節)と紹介されています。また「聖霊が彼の上にとどまっておられた」、「主のキリストを見るまでは、決して死なないと、聖霊のお告げを受けていた」、「彼が御霊に感じて宮にはいると」と25節と26節に三度も繰り返しシメオンが常に聖霊ご自身の導きのもとにあったことを強調しています。
(2)シメオンのことば
シメオンが幼子イエスを腕に抱き、神をほめたたえている印象深いことばを三つの点に分けて見て行きましょう。
①29、30節のことばには、神の約束を待ち望む時が終わってまさに成就の時が始まったとシメオンの喜びがあふれています。
②幼子イエスによる救いは、イスラエルばかりでなく異邦人にまで及ぶのです(31、32節)。
③34、35節に見るように、主イエス・キリストによる救いは、反対を受け苦しみを通してのものであることを明らかにしています。
[3]アンナを通して
(1)アンナの経歴
36、37節に紹介されているアンナは、神の救いを待ち望む敬虔な老婦人です。
(2)アンナの行動
38節には、救い主イエスに出会った喜びに満たされたアンナの行動が生き生きと描かれています。シメオンのことばとアンナの行動が織り成されて、主イエス・キリストに出会った人の喜びが現されています。
[4]結び
(1)年輩のシメオンとアンナが幼子イエスに出会っているのです。年輩であることの意味を見ないでしょうか。主イエスに従いつつ年を重ねること、また主イエスにあって幼子を見ること。
(2)主イエスはシメオンに喜びを与え、アンナを行動へと導いています。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。