「第3回サーバント・リーダーシップ・フォーラム」(NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会主催)が5月30日、東京都千代田区の区立内幸町ホールで開かれ、日本マイクロソフト社長の樋口泰行氏が、企業経営者ら約120人を前に講演した。テーマは「時代が求めるリーダーシップ」で、樋口氏は、「自立性、自発性のあるやわらかい組織、オープンな組織じゃないと(企業の)健全性を保てない」と述べ、支配型リーダーシップの対局にある奉仕型(サーバント)リーダーシップの重要性を力説した。
樋口氏は、2005年にダイエーの再建を引き受け、閉鎖しなければいけない全国54店舗のほとんどを直接訪問したことや、就任後最初の週末に全店舗の店長に電話をかけたことなど、社員とのコミュニケーション作りが結果として会社全体のモチベーションを底上げした点を強調。一方で、「戦略転換のときには、遠くが見えている人が大きく舵を切るのも責任」と大胆なトップダウンの必要性も指摘した。
サーバント・リーダーシップとは、米AT&Tでマネジメント研究センターの所長を務めたロバート・K・グリーンリーフ(1904~90)が提唱した実践哲学。弟子たちの足を自ら洗ったイエス・キリストのリーダーシップスタイルがベースとなっている。グリーンリーフ自身も敬虔なクリスチャンだった。
サーバント・リーダーシップが持続的な成功や成長を可能にし、危機の時代にこそ強さを発揮することは、すでに米国で多くの有名企業が証明してきた。日本で実践を公言する企業はまだ少ないが、同協会理事長の真田茂人氏は、「継続して成功しているリーダーは、必ずサーバント・リーダーシップの要素を持ち合わせている」と分析する。サーバント・リーダーシップを発揮している日本企業のリーダーとして、同フォーラムではこれまでにもヤマトホールディングス社長の木川眞氏やネッツトヨタ南国取締役相談役の横田英毅氏などを講師に招いてきた。真田氏は、「(日本に)サーバント・リーダーシップを意識するリーダーを一人でも多く増やしたい」と意気込みを語った。