パーパス・ドリブン・チャーチ(目的主導型教会)を学ぶ伝道勉強会が16日、東京都の常盤台バプテスト教会で開催された。牧師や信徒ら36人が参加し、停滞する教会の宣教を活性化させようと学びに励んだ。東京バプテスト教会(TBC)の牧師・スタッフらが主催。主任牧師のデニス・フォールズ牧師をはじめ、ジョエル・クェラー牧師、余沢武牧師、渡辺聡牧師が講義を担当した。
常盤台教会の教会員によると、現在同教会は無牧の状態が続いており、協力牧師として渡部信師(日本聖書協会総主事)がおもに説教を取り次いでいる。10年間教会員が200人のまま変化していない現状を何とか変えたいと、今回の開催に至った。
フォールズ師は、健康な教会のために必要な指標として聖書から導かれる「?伝道、?礼拝、?交わり、?クリスチャンとしての成長、?奉仕」の5つの指標を提示。教会がこれら5つのバランスを取る必要があると強調した。教会に関わる人を上記の5つの活動に分けるとき、「?伝道の対象としての地域の住民、?礼拝に参加する聴衆、?教会員としてキリストの体としての交わりに参加する人、?クリスチャンとしての成長のためにキリストの道に続く者としてスモールグループに参加したり日々のデボーションを行う人、?教会員の中の中心的メンバーとして奉仕に参与する人」と明確化される。従来当たり前とされてきたこれらのグループを意識的に分けることで、進むべき次の段階を示すことができるという。
続いて担当講師たちが、教会に来る人々の段階的成長のために教会がなすべきこととして、次の5つのテーマを挙げて順に講演した。「?伝道の対象となる人々について地域住民の傾向を調査し、地域住民が必要としているものを教会が知り、地域住民の特性に合わせて教会での活動を意図的に変えることで教会に人が来やすくなること。」「?未信者にキリストを伝え、伝道し、未信者の生き方が変えられることを主目的とした礼拝に礼拝の構成を変えること。」「?礼拝参加者が教会員になりたい雰囲気を作ること、教会員になる理由を教えること、教会員がスモールグループ(家庭集会)に加わるように勧めること、教会員が大切にされていることを感じるようにすること。」「?クリスチャンとして成長するために決意を求めること、パーパス・ドリブンの学びをするクラスを開くこと、成長していく意思を誓約によって表明すること、目的意識をはっきり持ったスモールグループ(家庭集会)で成長に必要な習慣を取り入れること、年ごとに成長を促すためのキャンペーンを行うこと。」「?教会員が奉仕者となるために教会組織を簡素化すること、希望者には実地訓練を施すこと、教会員が心の負担を負うことなく奉仕をやめたり変えたりできること、必要なサポートを与えること、リーダーを立てて責任と権限を与えること。」参加者はノートを取りながら真剣に耳を傾けていた。
今回のセミナー開催を呼びかけた渡部師は、パーパス・ドリブン・チャーチの考え方を導入し、礼拝参加者数が7年で400人から1200人に増えたTBCの例を挙げ、「TBCは国際的な教会でアメリカ型だから伝道が良くできているという認識があるかもしれないが、日本人教会でもできると強調したい」と述べた。
渡部師は、パーパス・ドリブンを日本の教会に取り入れることで「(キリスト教人口)1パーセントの壁を乗り越えていこうと祈りたい。将来に向けて今までの反省を踏まえて伝道する教会を目指す。福音を語ることで社会を変えていこうという姿勢を堅持していきたい」と語った。