カトリック函館湯川教会(函館市駒場町)にパイプオルガンが設置され、3日、ミサで祝福式と声楽アンサンブル・ゲザングリーベによるミニコンサートが行われた。
この日、同教会のフランソワ・ザビエ・オール神父が「聖霊は風のようなもので、パイプオルガンの筒を風が通るように聖霊の力が働き、天国からの素晴らしい音楽を聴くことができる」と伝え、オルガンを奏でる奏者のように、天国からの素晴らしい福音の知らせを響かせる信徒の一人ひとりへの祝福を送った。
同教会「王のキリスト」教会堂に設置されたパイプオルガンはドイツのトーマス・ヤン氏によるもの。パイプオルガン実行委員長の徳永ふさ子氏はヤン氏の製作するパイプオルガンについて「基本の音色が美しくて、(ヤン氏が製造するオルガンは)祈りにふさわしいという気がします。やわらかくて、それでいて芯がある。耳に刺さってくる音色がなくて、低音も落ち着いていてやさしい」と話す。
募金活動など3年前から準備され、今年の5月から設置作業が進められたパイプオルガンは、組み立てに3日間、整音作業に7日間を費やした。来日したヤン氏をはじめ、オルガンビルダーの望月氏、調律師の小川進師が力を合わせ、朝8時から夜8時まで作業を行い、会場に合うオルガンのイメージに限りなく近づけていった。
ふさ子氏は「電子楽器だったときとは(ミサの雰囲気が)全く違います。弾いているほうが癒されるのです」と話し、空気を通さなければ湿気がこもり故障しやすく毎日弾かなければならないという「生命」を持ったパイプオルガンを「深い祈りに導いてくれる偉大さがある」と語った。
パイプオルガンは建物と一体となって設置されるため、教会堂自体が大きな一つの楽器として響きを放つ。そのため同じパイプオルガンであっても建物との一致から、世界で「ここだけ」でしか聞けない音色が生まれる。「弾けば弾くほど良い音色になります」とヤン氏は自信を語る。
毎日天に祈りをささげ、神さまから来る恵みを響かせる信徒は、いわば移動するパイプオルガンとも言える。神の手による一人ひとりが聖霊の風を受け、それぞれの地で福音を響かせる。奏者はイエス・キリストだ。
神さまからくる一体感を味わえるパイプオルガンの「祈り」に、ミサだけではなく文化的な催しを通しても開かれたカトリック湯川教会では9日、新しく生まれたパイプオルガンのこけらおとしのコンサートが開催される。時間は午後3時30分から一時間。出演はオルガン奏者石崎理(いしざき みち)さんと声楽アンサンブル・ゲザングリーベ。入場無料。問い合わせはカトリック函館湯川教会(TEL:0138・51・9590、FAX0138・32・0629)まで。