教皇ベネディクト16世は1日、江戸時代初期に弾圧を受け殉教した日本人188人に「福者(ふくしゃ)」の称号を与えることを決めた。一度にこれだけ多くの日本人が列福されるのは1867年以来。福者に決まった多くは、女性や子どもを含む一般信徒。列福式は今年秋に長崎で行われる見通しで、日本での開催は初めて。
列福が決まった188人に関しては、日本カトリック司教協議会が81年から正式に調査を開始し、96年には教皇庁へ列福認定の許可を申請していた。すでに今年2月には同庁列聖省の枢機卿会議による承認が得られており、教皇の裁可を待つばかりとなっていた。
今回の決定を受けてカトリック中央協議会は、「この決定は日本の教会内外に殉教者の存在と列福の意味を知らせる貴重な機会」と述べ、列福決定を歓迎する一方、この機会を通して殉教者の存在を広く伝えたいという意気込みを示した。
188人の中には、遠藤周作の小説「銃と十字架」にも登場し、マカオへの追放後、約2年間かけて徒歩でローマまで向かい、「世界を歩いた神父」として知られるペトロ岐部(1587〜1639)、天正遣欧使節の1人としてローマを訪問したジュリアン中浦(1568〜1633)、大阪最後の宣教師とされているディオゴ結城(1574〜1636)らが含まれている。
これまで日本に関係した宣教師、信徒で聖人、福者として認められた人々は、「日本二十六聖人」らを含めて計247人。聖人に準じた称号として与えられる福者には、最近ではマザー・テレサが選ばれており、05年に逝去した前ローマ教皇、故ヨハネ・パウロ2世についても、現在列福のための調査が始められている。
カトリック中央協議会のホームページでは、「ペトロ岐部と187殉教者」として列福が決定した殉教者188人に関する特集を行っている。「日本188殉教者名簿」(PDF183KB)も閲覧可能。