先月、コプト教徒とリベラル派のイスラム教徒との衝突が生じ、コプト教会が焼き払われ、24人以上ものコプト教徒が殺される事件が生じた。エジプトでの宗教間対立は過去60年で最悪の時を迎えている。
他にも先月には、コプト教徒の学生が学校で十字架のネックレスを取り外すように命じられたのを受け、その学生が命令を拒否したところ、教師およびクラスメートらに暴行を受け殺される事件も生じた。
エジプトに生活する米ニューヨーク・タイムズのアンドレ・アシマン氏は、ユダヤ教の信仰をもっていることを理由に、攻撃の標的にされたことを同紙で明らかにした。
米ニューヨーク・タイムズの記事内でアシマン氏は「エジプトの問題は、公的な信用がどこにもないということです。今はどこにも信頼を置くことのできない期間に突入しています。中東世界の政治的対話、エジプトの大衆への鎮静剤としての偽りの噂が蔓延し、なかなか開かれた対話を行う精神や異なる宗教、異なる意見を受け入れる土壌が育ちにくい状況にあります」と述べている。
加ナショナル・ポストのバルカラ・ケイ氏は、エジプト国内のコプト教徒はムバラク政権時代の方が良く保護されていたとし、「『アラブの春』の動きに関して言えば、多くのエジプト国内コプト教徒はムバラク政権時代の日々が良かったと思い始めています。(確かにムバラク政権では悪い面が多々ありましたが、)少なくともムバラク政権ではイスラム過激派や虐殺を行う過激勢力を取り締まる術を知っていました」と述べている。
ムバラク政権は2月11日にムバラク大統領政権退陣をもって終焉に至った。最近では軍事政府による暫定政権に不満を抱くエジプト国民らの抗議運動が盛んに生じるようになっている。11月ではこれまでに抗議運動によって38人が死亡している。