ミャンマー政府は最近同国におけるキリスト教徒らの自由な宗教活動を制限する新たな規制を発表した。世界キリスト連帯(CSW)ミャンマー政府の発布した新規制では、ミャンマーカチン州ファカント郡に住むキリスト教徒らは、聖書を読むには少なくとも15日前に文書で申請することが制定されたという。10月31日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
CSW東アジアチームリーダーのベネディクト・ロジャーズ氏は「何年もの間、ミャンマー政権は宗教活動の自由を抑圧し、キリスト教徒およびその他同国宗教少数派に対する深刻な規制を制定してきました。聖書を読んだり、祈りや断食、日曜学校を開くのに許可が必要となる規制は、行きすぎた規制であり、宗教の自由の権利を著しく濫用するものです」と同政府の規制について非難している。
ミャンマーカチン州北部には同国で少数派である多数のキリスト教徒が在住しており、今回の新規制は同地域に住むキリスト教徒の宗教活動を著しく妨害するものとなることが懸念されている。
10月初めには、ミャンマー軍部がカトリック協会の牧師含む5人の男性を拘束し、暴行を加えたことがインドデリーに在住するミャンマー人のジャーナリストにより報じられた。その後拘束された男性らは解放されたという。
ミャンマーのキリスト教徒は新たな教会建築や十字架のような宗教シンボルを作ることも禁止されているという。またキリスト教徒の家庭において、食料や住居が軍部によって差し押さえられたという報告もヒューマン・ライツ・ウォッチから発表されている。
6月にカチン独立組織(KIO)とミャンマー軍部の対立が始まって以来、カチン州では3万人以上の人々が強制移住させられているという。KIOはカチン州のキリスト教徒らによる自治区で結成されている。
ミャンマーで継続的に生じている同国少数派のキリスト教徒への迫害は、世界各国政府や人権監視団体の注目を高めている。ロジャーズ氏は「ミャンマー政府の同国宗教少数派に対する対応は、語調には変化が見られたものの、実際の地域レベルの対応に至っては全く変化が見られていません。ミャンマーはすでに世界でもっとも宗教の自由を濫用している国のひとつに加えられており、米政府が迫害を懸念する国々の一国となっています」と述べている。
米政府はミャンマーの他、中国、エリトリア、イラン、北朝鮮、サウジアラビア、スーダンおよびウズベキスタンを最も懸念される宗教迫害国と見なしている。米国務省ではミャンマーの迫害状況に関してホームページ上で「政府の干渉や規制なしに何を信じるかを決める権利は、人間の尊厳において欠くことのできない要素です」と述べている。