【カトマンズ=ENI・CJC】ネパールでは、毛沢東主義色の濃い連立政権による新憲法採択を目前に、キリスト者、イスラム教徒、仏教徒など少数派が宗教差別反対のキャンペーンを始めた。
『世俗化防止のための宗教間運動』が政府に、教会、モスク、寺院などヒンズー教以外のものにも宗教団体として登録し、免税を適用するよう求めている。
同運動の報道担当チャリ・バハドゥル・ガハトラジ牧師は「国は4宗教組織を支援しているが、そのほとんどはヒンズー教系だ。そこには財政援助も行われている。2006年に政教分離を決定した時、わたしたちにも同様の便宜が図られると期待していた。それが未だに宗教組織としては認められるどころか、裁判に持ち込まれ閉鎖の危機に直面している」と語った。
宗教委員会と宗教法が全教派の権利を保護し、国家組織の中も少数派宗教信者が一定の割合で構成されるよう運動側は要求している。
ヒンズー王国だったネパールに政教分離をもたらす新憲法の8月末成立の可能性が危ぶまれている中で、運動側は、政府が最終的に成立させること、また宗教の自由を基本的権利として認めることを要求している。
運動が出した報道声明は、市民はいかなる宗教にも従う権利、望むなら他の宗教に転向する権利、自分の宗教を宣伝する完全な自由を持つべきだ、と指摘している。
民法・刑法草案では、転向に罰則を課していることも宗教少数派の懸念を呼んでいる。「それは暫定憲法に盛り込まれていた政教分離の精神に反しており、修正するべきだ」とイスラム教指導者ナズルル・フッサイン・ファラヒ氏が述べている。