日本教職員組合(日教組)の第56次教育研究全国集会が10日、大分県内で開幕した。12日まで3日間の日程で行われ、約1万2000人の教師らが参加。いじめ問題の解消に向けた「学校の安全確保」や「学力低下問題」、「高校必修科目の履修漏れ」など、学校教育現場の実態について報告、議論する。
読売新聞によると、森越康雄日教組委員長は、集会の開幕にあたり、10日午前の全体集会で政府の教育再生会議について言及し、「学校現場の実態を直視せず、資料や実践の検証やそれを踏まえた議論の形跡もない」と批判。さらに集まった教職員に対し、「私たちは自分の仕事に誇りを持ち、子どもと考え、保護者や地域から学ぶ謙虚さを持とう」と呼びかけた。
集会では、全国の教育現場から集まった約800の授業実践例が報告された。しかし産経新聞によると、いじめ解消につながった事例が1件報告された他には、「いじめ」の見出しがついた内容は皆無だったという。さらに同紙は、「『子どもの安全・安心と学習権保障』と題した特別分科会の一部ではいじめ問題が取り上げられたが、有識者によるシンポジウムだった」と述べている。
このことに関し、日教組側は「いじめと未履修に関する報告はない。報告は(いじめ自殺問題が社会問題化する以前の)昨年10月までに県や支部レベルの教研集会を経て積み上がってきたからだ」と説明している。一方一部の組合員は、「昔は特別分科会で真剣に議論されたが平成12年に閉鎖された。組合としては教員批判につながる分科会は存続できなかったのでは」と解説している。
11日には小中学校の給食費滞納問題に関する報告会が行われた。集会は12日まで続く。