女性会議やアジア女性資料センターなど女性の人権(ジェンダー)の尊重を訴えて活動する市民団体の会員らが30日、厚生労働省前にて柳沢伯夫厚生労働相の辞任を呼びかける抗議集会を行った。
この抗議集会は、柳沢厚労相が27日に松江市で開かれた自民党県議の集会の講演において少子化問題についてふれた際に、女性のことを「子どもを産む機械」などと発言したことに対する反抗と憤りを表したもの。
前日夜からの緊急呼びかけにもかかわらず、午後2時から行われた抗議集会には10団体、約100人が賛同し、厚生労働省前には約50人が集まった。参加した団体らと市民らは「柳沢大臣は辞任を!」と声を上げ、柳沢厚労相が女性の人権を否定する発言をしたことに対し、発言の撤回と辞任を強く要求した。
今回提出された抗議文によると、「産む機械」という発言は子どもを産むように女性に対して催促する意を含んでおり、かつ少子化問題の責任を女性に転嫁するものであると団体らは非難している。さらに「政府は子どもや女性あるいは家族をそれ自身の価値によってではなく何か他のもののために価値を持つものとみているのではないか」との見解を示し、現政権の政策に対する不安と疑いを訴えかけた。
女性・市民団体の間だけではなく、今国会内でも問題の的となっている柳沢厚労相の発言は、「15から50歳の女性の数は決まっている。生む機械、装置の数は決まっているから機械と言うのは何だけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと思う」との女性の出産に対する考えを示したもの。
柳沢厚労相は29日に国会で、「女性は子どもを産む機械」などと発言してしまったことについて「女性の方々を傷つける不適切な表現を用いた。国民、特に女性に申し訳ないと存じ、改めて深くおわび申し上げる」と陳謝したものの、共産、社民両党が厚労相の辞任を要求しているほか、民主党の鳩山幹事長も厚労相を批判する発言をしている。また安倍首相も不適切な発言をしないように柳沢厚労相を厳しく注意した。
一方柳沢厚労相は30日の記者会見で、発言は人口推計の話を分かりやすく説明するためだったと説明し、辞任を改めて否定している。