福岡県内の女性(70代)が15日、約20年にわたって献金、物品購入を強要されたとして、世界基督教統一神霊協会(統一協会)を相手取り、約1億8000万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こした。「家族が早死にしたのは先祖の悪因縁のため」と不安感をあおられ、20年もの間、恐怖の中で生活したと証言している。
女性は1987年に、自宅を訪問してきた信者から40万円の印鑑を購入したのをきっかけに入信し、以後献金、物品購入を求めれ、その総額は2億円以上に達したとされている。このうち証拠が残っている約1億5500円分について賠償請求し、慰謝料として1000万円を求めた。
統一協会による霊感商法は、1980年代初めから始まり、路上での手相判断や占いなどをきっかけに、「霊場」と呼ばれる会場に連れて行き、家系図などを鑑定しながら、霊能者を装った信者が本人や家族の不幸の原因を先祖の因縁話を使って説明し、先祖が救われるとか、このままでは不幸なるなどと不安を煽り、法外な値段で壷、多宝塔などを買わせてきた。国民生活センターや各地の消費生活センター等に多くの苦情が寄せられ、大きな社会問題となった。
統一協会に対して起こされた裁判は、献金の正当性を求めるものや、霊感商法に関するものも含めて1986年の初の提訴以来100件を超えている。このうち11件で統一協会側の責任を認める判決が最高裁で確定している。最近の判決としては昨年10月、東京都内の資産家の女性(68)が統一協会と信者に約5億4000万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁が統一協会側に約2億8000万円を要求した判決がある。