北朝鮮の核問題をめぐる第4回6カ国協議が26日午前(日本時間同)、北京の釣魚台迎賓館で開会した。共同通信によると、各国首席代表の冒頭あいさつでクリストファー・ヒル米国務次官補は北朝鮮が主権国家であると6カ国協議の場で初めて確認し、「北朝鮮を侵略、攻撃する意図はない」と言明した。北朝鮮の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は朝鮮半島非核化の実質的進展に向け「戦略的決断が必要で、われわれは万全の準備をしてきた」と表明した。昨年6月以来、1年1カ月ぶりの再開。
日本の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は拉致問題を含めた包括的解決に言及した。協議の冒頭発言で、核と並ぶ北朝鮮の懸案である日本人拉致やミサイル問題に言及したのは日本だけだった。日本経済新聞によれば、韓国は「協議の目的を分散させる行動は望ましくない」(首席代表)と述べた。中国メディアも「日本は各国の反対にもかかわらず、協議中に拉致問題を持ち出すことに固執している」(人民日報)と日本を非難。米国も米朝関係正常化が人権問題など諸懸念の解決に優先するとしている。
キリスト教界では、日本キリスト教協議会(NCCJ)と米韓の各教会協議会が21日、共同声明を発表し、北朝鮮に対し核を放棄するよう要求した。参加国に対しては、北東アジア諸国をふまえて協議がなされること、世界平和の再建が国家利益に優先することの再確認を求めた上で、国家間に相互理解と和解の雰囲気が生じることを願うとした。また日本政府に対しては、「北朝鮮との国交正常化の妨げとなっている諸問題を乗り越えて、歴史的な問題に前向きに取り組む姿勢を求める」と、拉致問題などの人権問題には今回触れるべきでないとの認識を示す内容となっている。
インタファクス通信は26日、北朝鮮外交筋の話として、同日の米朝協議で北朝鮮側は、在韓米軍に配備されていると主張している核兵器の引き揚げを、北朝鮮の核開発放棄と同時に行うよう求める方針だと伝えた。 昨年6月の第3回6カ国協議で米国が示した提案に北朝鮮側がどのような回答をするかが焦点とされている。