米マイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は6日、住宅、雇用、保険などで異性婚姻と同性カップルの区別を禁止する法がワシントン州で成立することを支持する方針を従業員に伝えた。保守派のキリスト教会や家庭保護団体からの反対を受けて一度支持の姿勢を撤回していた同社だが、同性愛者擁護団体からの圧力で再度方針をひるがえしたかっこうだ。
バルマーCEOは全社員にあてたメールの中で「各方面からの意見に耳を傾けた結果、職場の多様性が当社の収益にとって大変重要であり、立法議案に加えられるべきものだという結論に達した」と説明した。一方、支持取り下げの理由には触れていない。米主要メディアの報道で9日までに分かった。
マイクロソフトは同性愛の従業員の同性「配偶者」に対し医療保険を拡大する措置を国内で初めて採用し、同性愛者差別禁止法案を長期間にわたって支持していた。だが、家庭保護団体などから「大企業のおごり」などと同社の行き過ぎた決断を非難する声が相次ぎ、同社は今年に入ってから同法案に対する支持を取り下げ、中立的な立場に方針を変更した。同法案は4月21日、ワシントン州議会で廃案となっている。
マイクロソフトが一度は同性愛者差別禁止法案支持を取り下げた背景には、地元福音派教会からの根強い働きかけがあったとみられている。同性愛者間の結婚を禁じる運動をシアトルと首都ワシントンで展開している福音派教会のケン・ハチャーソン牧師は、マイクロソフトの企業規模を考えた場合、同社の決定が社会全体に及ぼす影響には計り知れないものがあるとして、結婚の神聖な本質に立ち返るよう強く求めていた。