日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委(須賀誠二委員長)は今月5日、石原慎太郎東京都知事の靖国神社参拝中止を求める集いを東京都庁で開催した。平和遺族会全国連絡会、政教分離の侵害を監視する全国会議、靖国参拝意見訴訟の会・東京が共催。同委は集会後、石原都知事に参拝中止の共同申し入れを行い、続けて記者会見を行った。会見では「石原都知事が靖国神社を参拝し、そのことが日本の侵略戦争被害にあい何の戦後補償も受けていないアジアの国々の人の心を苦しめている」「戦争美化、戦死者の美化、ひいては進んで戦争する国民作りにつながることを危惧する」といった発言がなされた。
石原都知事は15日、都の戦没者追悼式に出席した後、靖国神社を参拝。2000年から毎年、8月15日の敗戦記念日に参拝しており、5年連続。時事通信によると、参拝後、敗戦60周年に当たる来年について「ぜひ、天皇に一国民として参拝していただきたい。天皇にしか果たせない国家に対する大きな責任を果たしていただくことになる」と述べた。
NCC同委が発表した声明は以下。
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石原都知事の靖国神社参拝に反対し、中止を求める声明
石原慎太郎東京都知事は就任以来既に四回8月15日に靖国神杜参拝をくり返して来ました。公人の靖国神杜参拝は明白な違憲、違法な行為であり、私たちは強く反対します。
今年も8月15日が近づいてきました。改めて靖国神杜参拝を行わないよう、中止を強く求めます。
今年の4月7日、福岡地裁で小泉首相の靖国参拝に対して明確な違憲判断がなされ、判決が確定しています。玩在係属中の靖国違憲訴訟においても、旧植民地時代の戦没者遺族
を始め、多くの意見陳述、国の内外の人々によって、靖国神杜参拝の問題性が指摘されています。
侵略・加害の歴史を繰り返したかつての日本が戦後59年の今もなおアジア太平洋の国々・民衆に対する戦争責任を果たすことなく、日米同盟を基軸に、国際協調を大義名分に、武カによる有事体制づくりに直進し、イラクに対する'人道支援のためと称して自衛隊を「派兵」しています。
そうした状況にあって、靖国神杜に対して再び戦争遂行の精神的役割を担わせようとする声が起こっています。かつての靖国神杜は「英霊」顕彰の精神を国民に植えつける働きをしてきましたが、これを復興させようとするものです。
石原知事が今年も参拝を繰り返すことは、侵略・加害の戦争に対する反省にはならず、有事体制づくりの日本政府と同じ路線に加担する役割を担うことになることは明白であります。
公人の靖国神杜参拝は「政教分離」に反する違憲な行為であり、決して許されません。
5度目の8月15日の参拝の中止を強く要望する次第であります。
2004年8月5目
目本キリスト教協議会靖国神杜問題委員会
委員長 須賀誠二
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