暗い夜道を下校する地域の子どもたちを守ろうと、福音交友会・向陽聖書教会(京都府向日市)の杉山敏夫牧師(41)が、留守家庭児童会に通う子どもたちの下校に付き添うボランティアを向日市内で始めた。杉山牧師は、「この活動を聞いて、日本の他の地域でも子どもたちを守る働きが盛んになれば」と語った。
向日市では昨年11月、同児童会の児童が集団下校中に車にはねられ、2人が重症を負う悲しい事件が起こった。当時、昼間に下校する同市内の児童を見守ってきた杉山牧師は、事件を聞き、これまで夜間に下校する子どもたちを誘導する大人がいなかったことを知ると、すぐさま地元の第2向陽小の同児童会に協力を申し出た。
留守家庭児童会は、仕事の都合で日中に保護者のいない子どもたちの通う児童施設で、市内の各小学校にある。下校時に児童の保護者が迎えに来ることが原則となっているが、市教委によると、迎えに来られない保護者が多いのが現実だという。同小では、1〜4年生の児童約100人のうち30〜50人が、グループに分かれて集団下校している。
杉山牧師は昨年12月初旬から活動を開始した。手には赤色誘導灯、さらに反射材付きベストを身に着けて、毎日午後5時ごろに同小校門前まで児童を迎えにいき、学校から約1キロ離れた同町北域へ帰る子どもたちを一人で誘導している。家を出る前には必ず、子どもたちが万一事故や事件に巻き込まれないようにと児童の無事を祈っているという。
子どもたちの反応は大きく、杉山牧師の姿を見ると喜ぶ児童の姿も。本紙に対し「自分たちが大切にされているということで、理屈ではなくて『いのちの大切さ』が肌で伝わっている」と杉山牧師は話す。
杉山牧師は、「この活動を聞いて、日本の他の地域でも子どもたちを守る働きが盛んになれば」と今後の活動の広がりを願った。