南米エクアドルの首都キトで、キリスト教放送団体「HCJBワールドラジオ」の日本語放送を長年担当した尾崎一夫宣教師が20日、東京・新宿区にある淀橋教会(峯野龍弘牧師)音楽伝道会で講演。いつもは短波ラジオから聞こえてくる尾崎師の語る聖書のメッセージに、会衆は熱心に耳を傾けていた。
尾崎一夫師は1963年6月、太平洋放送協会(PBA)から電波宣教師として南米エクアドルの首都キトに遣わされた。HCJB日本語放送「アンデスの声」は翌年から始まり、短波ブームの中で世界各地のリスナーが受信を喜んだ。多いときには一ヶ月で約7000通の便りが届いたことも。77年の帰国時に尾崎師は、新潟で開かれたBCL(ブロード・キャスティング・リスナー:海外放送受信視聴者)ファン大会で中学生ら1000人を前に福音を伝えた。
今回の帰国は、今年6月3日から同局オーストラリア送信所で日本語放送が新しく始まったことを受け、国内の番組提供とリスナーへのフォローアップを新しく始める日本事務所(淀橋教会内)の正式発足にあわせてのもの。
HCJB日本事務所が開設された淀橋教会には、6月3日の放送から現在までに、すでに世界中から300通を超える便りが届いている。この予想以上の反響に、フォローアップ担当者は嬉しい悲鳴をあげている。
届けられた便りを見ると、10歳から80歳までのリスナーのほどんどがノンクリスチャン。日本だけでなく、韓国、台湾、ロシアからも便りが届いた。「放送された聖書のメッセージに励まされ『前向きに生きていこう』と決心した」「長く本棚にあった聖書を取り出して読み出した」「かつて日曜学校に行ったことを思い出した」など、実に様々な反響が寄せられている。
講演の中で尾崎師は、すべて人は、自分の意思で生まれてきたのではなく、人の命はすべて「与えられたもの」であることを説いた。では、この「与えられた」人生をどのように歩むか。
旧約聖書の創世記に登場するヤコブは、実の兄から命を狙われ、最愛の父母のいる故郷を離れて一人荒野で旅をするという八方ふさがりの状況の中で、神からの約束を受けた。そこで彼は、「主が共にいてくださる」ことをはっきりと体験した。
尾崎師は、頭で聖書を理解するだけでなく、「主が共におられること」を心で受け止め、主を身近に感じるようになることが最も大事だと伝えた。
ヤコブが見た夢は、神ご自身がヤコブに見ておられる夢でもあった。主イエスの血潮によって罪をあがなわれ、神の子とされた一人ひとりにも同じく、神は必ずそれぞれに特別な夢を持っておられる。
最後に尾崎師は、神がいつも「私とともにいる、私を助ける」方であることを説き、会衆に励ましと慰めの福音を伝えた。