昨年12月30日、イラクでサダム・フセイン前大統領が絞首刑を執行されたことに対し、米教会指導者らが懸念の声を上げている。
米国福音同盟(会員3000万人、以下、NAE)のリース・アンダーソン暫定代表は、「(死刑制度は)各国の政府と国民が判断すべきこと」と理解を示したうえで、「フセインの犯した数々の罪は非常に重いが、死刑制度には同意できない」との認識を明かした。
一方、南部バプテスト連盟(SBC)は「罪状によっては死刑も検討すべき」との立場を示した。SBC倫理と信教の自由委員会のリチャード・ランド委員長は、「多数の自国民を殺害したサダム・フセインに対する単純な怒りと正義感が死刑判決の決め手になった」と分析した。
また、英国教会は、正義と和解の社会を再建する過程で死刑が生み出すものは何も無いと、カトリック教会の姿勢に同調した。英国教会の最高指導者、カンタベリー大主教のロワン・ウィリアムズ師は「フセインは大きな罪を犯した。だが、死刑では変革や悔い改めの機会が奪われる」と話した。