ローマ教皇庁(バチカン)は20日、「中国とさまざまなレベルでの関係正常化を目指す」とする声明を発表。教皇ベネディクト16世は近く、中国のカトリック信者に向けて書簡を送る。
昨年春以来、中国政府公認の「中国カトリック愛国会」は教皇の承認なしに司教の任命を続けたため、法王庁は対応を話し合うための会議を19、20の両日に開催。中国とバチカンの関係改善のキーパーソンとされる香港教区の陳日君枢機卿も参加した。
18日付の香港各紙では、中国側が独自に任命した広州教区新司教を、教皇庁が承認したなどと報じられ、教皇庁側による関係改善の動きが見られ始めたなか、公式な声明が発表されたことにより、事態が大きく進展する可能性が見えてきた。
カトリック系のウェブサイトによれば、教皇庁は中国問題を検討する専門の常設委員会を設置し、以後司教の任命権問題などを扱うという。
1951年に断交した中国とバチカンは、ローマ教皇ベネディクト16世の就任後、和解の動きが表面化してきた。しかし、昨年4、5月に中国カトリック愛国会は、ローマ教皇庁を無視した形で3人の司教の任命を強行した。これに対して、教皇ベネディクト16世は、新司教及び中国側の数名の司教を破門。中国側は「脅しであり、道理のかけらもない」と批判するなど、対立が深まっていた。