東アフリカのエリトリアで最近、政府が宗教法人の人事や財政などを直接指導して統制を強化していることがわかった。
政府は信教の自由を保障するとしているが、02年以降、正教会、カトリック教会、ルーテル教会を除く全ての教会を閉鎖させたことにより国際社会から非難されている。米国務省から毎年発表される「宗教弾圧が特に懸念される国」(CPC)のリストでも、エリトリアは昨年以降、北朝鮮、中国、イラン、ミャンマー、サウジアラビア、スーダンなどとともに「宗教弾圧国」に指定されている。
エリトリア政府は今年1月、正教会の総主教を解任させて後継者を自ら選任した。12月5日には全宗教法人の資産を国庫に帰属させ、国家が財政を取り仕切ると宣言した。宗教法人の資金源を監視することが目的。これにより、信者からの献金を含むあらゆる収入はいったん政府の管理する銀行口座に振り込まれ、必要額をその都度引き落とすかたちとなる。
また、政府は各宗教の人事権を掌握して聖職者の任命を自在に操ることになった。政府に任命された親政府派の聖職者は政府の強引な手法を受け入れるため、正教会が政府の直接管理の下に陥ることになる。
エリトリア政府はカトリック教会に対しても正教会と類似した政策をとる方針を明らかにした。これに対してカトリック指導部はバチカンと協議したうえでこの政策を拒絶する立場を表明した。