米児童支援団体「児童擁護基金(CDF)」創設者兼会長のマリアン・ライト・エデルマン氏は28日、ワシントンD.C.においてアモス&ヨセフ受賞式が行われた際、アモス賞受賞講演を行った。
アモス賞は、貧困や不正に対して神の御言葉に基づいた力強い意見を述べた人に与えられる賞である。エデルマン氏は、米エール大学法学部の卒業生として市民権運動や人種差別問題、子どもの発育に関する運動にこれまで積極的に関わってきた。
タバコを吸う子ども、通りにたむろする子ども、刑務所へ入れられる子どもが現代社会で目立っていることに対して、「子どもの異常の原因は大人にある」とし、子どもの悪習慣は大人の誤った行為の影響であり、大人たちが悔い改める必要があると主張してきた。
エデルマン氏は、「大人は子どもに道徳を教える一方で、当の自分達は別の如何わしい行為を行っています。大人たちは守ることのない約束をし、実際には行わないことを教えています。大人たちは子どもに暴力を振るっておきながら、子供達に感情を自制するように命令します。また大人は嘘をついたり陰口を言ったりしているのに、子どもには正直であるように教えています。私は子どもの非行の原因はこのような大人たちにあると思います。ですからすべての大人たちは悔い改めることを願います」と会衆に迫った。
また大人は完全ではなく、子どももそれを期待しているわけではないことを確認し、「子どもは私たちが正直であろうと努力し、たまには大人だって間違いを犯すことがあると認めることを望んでいます」と語り、「私たち大人は、子どもたちにどのように奮闘するのか教えなければなりません。私たちは生活上のバランスを取るために奮闘しています。子どもたちは大人が義なることのために奮闘している姿が見たいのです」と訴えた。
エドルマン氏によると、米国では35秒に一回の割合で子どもが虐待・放置されているという。また36秒に一回の割合で貧困の中に子どもが生まれ、42秒に一回の割合で健康保険に加入せずに子どもが生まれているという。
長期にわたり、子どもの権利提唱者として活動してきたエドルマン氏は、さらに「ゆりかごから刑務所へのパイプライン」についても言及し、貧困や恵まれない条件、少数派民族の子どもとして生まれてきた人は社会の片隅での生活や早死にをしやすいことを指摘した。「刑務所は、黒人共同体の新たな奴隷制を生み出しています。このことがラテン系民族にも影響を及ぼしています。子どもに良い教育を与えることの3倍、子どもを少年院に拘束するのに時間をかけているこの国を私たちはどのように評価すべきでしょうか?」と疑問を投げかけた。