国際的報道の自由を提唱する団体、国境なき記者団(RSF)は15日付けの報告で、ヤフー検索エンジンには中国でもっとも厳しい検閲システムが敷かれていると発表した。
RSFによると、「報道の自由」、「民主主義」、「人権」、「6・4(6月4日、天安門事件記念日)」などの10の政治的に敏感なキーワードを中国ヤフー検索エンジンにかけて検索したところ、グーグルやMSNの検索エンジンよりも高い割合で検閲に引っかかったという。
さらに深刻なことに、中国ヤフー検索エンジンでは、このような用語を検索した後、30分から1時間程度ヤフー検索サイトにアクセスできなくなるという。グーグルやMSNのサーチエンジンにはこのようなアクセス拒否設定はない。
RSFインターネットの自由デスク主任のジュリアン・ペイン氏は、「中国ではヤフー同様にグーグルも検閲システムを設けてはいるが、ヤフーの検閲システムに比べたらはるかに厳しくはありません」とコメントした(Wired News)。
またRSFは、「中国の"Yahoo.cn"の検閲システムは中国国内の検索エンジン"baidu.cn"と同様にとても厳しくなっている一方で、"google.cn",や"msn.cn"のベータ版では中国当局によって許可されていない情報が一部検索可能になっています」と報告した。
さらに、"Yahoo.cn"は"Baidu.cn"よりも検索結果で北京当局のサイトに返される数が多くなっており、「国境なき記者団としては、ヤフー社の中国における検閲システムの厳しさにとりわけ衝撃を受けています。というのも、政治的に敏感な用語の検索結果として示されるサイトの97パーセントが北京当局支持派のサイトになっているからです。このことは、ヤフー社の検索システムにおける検閲は、中国国内の検索エンジン"Baidu.cn"よりも厳しくなっていることを意味します。ヤフー社は中国において、報道の自由に関するなんの配慮もしていないことになります」と述べた。
最近グーグル社は、中国における検索システムに関する協力姿勢について人権・宗教解放団体から、表現の自由の侵害であり中国少数派信仰団体を追い詰めるものであると非難された。今年1月に立ち上げられたグーグル社による検閲機能付検索エンジンによって一年前に始まった議論が再び白熱した。
今月上旬に、グーグル社共同創設者の1人であるサーゲイ・ブリン氏は、グーグル社が中国政府の検閲要求の言いなりになって、グーグル社の信条に沿わない検閲システムを適用することに応じたことを認め、「私達は確かに私たちの会社信条に沿わない決定を中国でしてしまったと感じているが、それでも結果的に中国のユーザーができるだけ多くの情報にアクセスできるよう、より効果的なサービスを提供し、違いをつけていこうとしています」と述べていた(AP通信)。
中国外務省の劉建超報道官は公式声明で、「中国政府は外国のインターネット会社が中国国内でビジネスを行うのを歓迎するが、インターネット会社らは同時に中国国内の法律を遵守し、国を尊敬しなければなりません。経済、貿易に関するあらゆる協力は国内の法律の定めるところに従って行われます。ですから、我々は中国の他の外資系企業に対しても中国の法律を遵守してビジネスを行うことを願っております」と述べた。(Voice of America)