【ワシントンD.C.(AP通信)】グーグル社共同創設者の1人サーゲイ・ブリン氏は6日、中国政府の検閲要請を容認し、グーグル社が中国政府に妥協したことを認めた。ブリン氏は、グーグル社が中国での経営方針を変更するかどうか決定する前に、中国政府との協定事項の見直しに取り組んでいることを発表した。
ブリン氏は米国会議事堂近くで記者団のインタビューに応じ、グーグル社は中国政府がグーグル社のサービスが国内で行われることを拒んだ後でのみ、中国政府からの検閲要請に同意したことを述べた。グーグル社のライバル会社らも同様な経緯で検閲要求を受け入れたという。ブリン氏は「私たちは自分たちの経営方針を修正することになるかもしれないと感じていますが、そのことで最終的にはより多くの情報、より効果的なサービスを提供し、今よりもさらなる違いを見せていくつもりです」と述べた。
グーグル社は米国司法省を相手に、政府がインターネット検索で得ることができるインターネットユーザーに関する情報量の制限について裁判で争ってきた。インターネットユーザーなら誰もが知るように、インターネットで最も人気のあるサービスの一つとしてグーグル社の無料電子メールサービスがあるが、グーグル社は、米国家安全保障局が正当な理由無しにインターネット通信で情報を収集することには一切関わらなかったことを言及した。
またブリン氏はワシントンD.C.を訪れ、電話、ケーブルテレビ会社らがグーグル、マイクロソフト、ヤフー社から初期手数料を徴収することをやめさせる計画を承認してもらうよう米国上院議員に要請した。こうすることでインターネット会社はより迅速なサービスを提供できるという。ブリン氏はジーンズにスニーカー、黒のスポーツジャケットというカジュアルな服装で現れ、「私が国会議員らの考えをどう変えることができるかはまったく定かではありません」とコメントした。
中国政府に承認されたグーグル社のインターネットサービスでは、たとえば1989年の天安門広場における弾圧事件の詳細など、政治的に敏感な情報が省かれている。グーグル社の行った中国政府との妥協は、人権団体らによる辛辣な非難を浴びることになった。
パリに拠点を置く「国境なき記者団」は6日、ほとんどの中国の省でアクセス不可能になっていたグーグル社ホームページ"http://www.google.com"が、5月31日をもって中国全土で完全にアクセス不可能になったことを報告した。
グーグル社は、中国での経営方針を変更する前に、"Google.cn"検閲付検索サービスの内容を修正しようとしている。ブリン氏は「『見て、グーグル社は私たちの使命を守って検閲自体には反対しています。私たちが実際に検閲をしようとしているのではありません。』ということもまた理にかなっています。検閲サービスは私たちの意向で行ったものではありません」と説明した。