【フランス、カンヌ(AP通信)】16日カンヌ国際映画祭でダヴィンチコードを批判する聴衆らからダヴィンチコード映画公開に向けて無関心や冷笑の入り混じった生ぬるい賞賛を受けた。
今年度もっとも公開が心配されている映画「ダヴィンチコード」はダン・ブラウン氏の小説を忠実にあてはめ、キリスト共同体のルーツの秘密を探ることから生じる殺人スリラーへと話が引き延ばされている。
この小説をむさぼり読んだ読者がいる一方で、カンヌ映画祭での反応はこの金儲け目当てのサスペンスに対する生ぬるい賛辞を寄せる人からこの甚だしいメロドラマ化された映画に対する冷笑を含んだ不満の声をあげる人までさまざまであったという。
ロンドンデイリーメールの映画コラムニスト、バズ・バミンボーイ氏は、「この映画は今まで語られてきたキリスト教の歴史が真実であったか否かということについての内容ですが、一スリラー作品としては、良い作品だと思います」と少し肩をすくめながら感想を述べた。
ベラルーシのユニスターラジオ局のIgor Soukmanov氏は、「たぶん明日にはこの映画の内容を忘れるでしょう。しかし今日2時間という時間においてはこの映画は良い娯楽になりました。一ハリウッド映画として、この映画はとてもすばらしい映画です」と述べたという。
「ダヴィンチコード」はフランスその他数カ国においては17日映画公開され、米国では19日、日本では20日公開される予定である。
ロン・ハワード監督によるこの映画では、トム・ハンクスとオードリー・トトゥが主演し、度重なる殺人事件の後、聖杯をめぐってすさまじい探求を繰り広げている。
映画制作者側は小説を映画に当てはめるにおいて、多少修正や多様性を加えたが、全体的な要旨としては小説をそのまま当てはめており、多くのキリスト教徒らによって批判されているイエスキリストがマグダラのマリアと結婚して一子を儲けたという考え方もそのまま当てはめている。
カンヌ映画祭の聴衆らはこの映画が2時間半もの間上映され、尻すぼみの「新事実」が明らかにされる時間を不安げに落ち着かない様子で観ていたという。
米サンフランシスコの映画批評家ジェームズ・ロッチ氏は、「ロン・ハワードはかっこいい映画を作ったとは思うが、この映画は悪くもないが、別段良い映画でもない。映画自体はきれいに仕上がってはいるが、話が単調に長く続きすぎているような気がする」と述べたという。
ハワード監督によって付け加えられた特にメロドラマ的な部分は聴衆らによって冷笑や野次の対象となり、聴衆の中では映画鑑賞券の売れ残りが多くあることに対する冷笑もあったという。
また映画上映会では聴衆の一部が映画終了前に退出したが、映画終了前に退出した人の数はその他の多くの非難を浴びる映画の試写会に比べれば別段多くはなかったという。映画終了時には、数人から歓声の声があったが、カンヌ映画祭で悪評を受けた映画でも時折受ける大きな賞賛の拍手は得られなかったという。