世界聖公会の精神的な指導者であるカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ博士は、世界共通の諸問題に取り組むため、信仰共同体は世の中における信頼性を確かなものにしなければならないと述べた。
ウィリアムズ大主教は、ワシントンD.C.におけるキリスト-イスラム合同会議の晩餐会においてすべての宗教団体が直面している問題について言及し、それぞれの宗教団体が直面しているそれぞれの諸問題を各宗教指導者らにとって共通の課題と見なすべきであると強調した。
ウィリアムズ博士は、「我々は共通の課題に直面していることを認識しています。我々は常に自分たちがそれぞれの宗教に対して同一な確信を持っており、互いの宗教の差異を皮肉しようとしているわけではないとは言えませんが、今日の世界は一つの信仰団体、一つの国家、一つの有力団体のみで世界の諸問題を解決できるような世界ではありません。
我々の地球が直面している地球生態系の破壊は、宗教間の差異に関わらず宇宙船地球号に生活している我々にとって共通の課題です。地球温暖化問題は神学的には教育されていません。地球温暖化による水位上昇では、キリスト教徒でもイスラム教徒でもユダヤ教徒でもいかなる人であろうと無差別的に被害対象者になりえます」と述べた。
今回ワシントンD.C.において開催されたキリスト-イスラム合同会議における特別晩餐会には、ウィリアムズ大主教の他、ワシントンアラブ大使館の大使らも出席しており、彼らは英国国教会がアフガニスタンのキリスト教改宗者が死刑判決を受けたことに対して反対する意見を聞き入れたという。
ウィリアムズ大主教はキリスト教改宗者の死刑判決に関して、「イスラム教徒からキリスト教徒に改宗したアブドル・ラーマン氏に対する死刑判決はきわめて理不尽、不当かつ異常な出来事です」と断言し、「キリスト教に改宗する人の生命が脅かされる今日のアフガニスタンのような、悲劇的で非常に込み入った情勢下において、我々がこのような会議を開くことが出来るとはなんと時にかなったことでしょうか」と述べた。
ウィリアムズ大主教は今日の人々が、多様な情勢下に迫り来る文化的固定観念を創出させないように努力しなければならないことを強調した。
ウィリアムズ大主教は、信仰団体の信頼性を増強させることが我々の主要な課題であると強調し、「イスラム教社会が『西欧モデル』およびすべての概念的、実際的な問題の原因となる世の中の基本的人権構造を無批判に受け入れることを要求されるのは、ただ単にイスラム教国だけの問題ではありません。異なる社会共同体が、それぞれの社会における正義と合法性を互いに信用することができる世の中に暮らすことがどういうことか考えてみてください。どのような社会にもアフガニスタンの改宗者の事件に代表されるような、不正で異常な残虐行為に立ち向かうことができないような弱点領域もあれば、その一方で安全を保証できる領域もあるのですから」と述べたという。