【ローマ(AP通信)】米紙クリスチャンポストによると、イスラム教からキリスト教に改宗し、アフガニスタンで死刑判決に直面した男性が、アフガニスタンの法律家らによる強い反発を受けながらも、無事29日にイタリアの保護施設に受け入れられた。
アブドル・ラーマン氏は、カブール郊外の厳重警備の保たれた刑務所から解放されて数日後、ローマに到着した。
今回の裁判は欧米諸国から非難を浴び、米国その他の政府からアフガニスタン政府に対し、告訴されている41歳のラーマン氏の身の安全を保証するようにと強く要求されていた。
またローマ教皇ベネディクト16世もアフガン大統領ハミド・カルザイ氏にラーマン氏の身の安全を要求していた。アフガニスタンイスラム教聖職者らが、改宗は背教であるとして彼の生命を脅かすようになった後、国連もラーマン氏の解放後の逃避国を探していた。
ラーマン氏は現在イタリア内務省の保護下にあり、シルビオ・ベルルスコーニ伊首相は29日夕方、「ラーマン氏は既にイタリアにいます。彼は昨夜イタリアに到着しました」と伝えた。
伊首相はそれ以上のコメントを避けた。伊内務省によると、ラーマン氏は「保護監督下にある」という。
アフガニスタン新国会では29日、ラーマン氏の裁判についての会議を行い、ラーマン氏が国外に逃亡するのを禁じるべきだという要求が出された。しかし今回の問題に関する公式投票は行われなかったという。
イスラム教指導者や学生含む500人ほどのアフガニスタン国民はラーマン氏の国外逃亡後、ザブル州カラト南部のモスクに集まり、「ラーマン氏はイスラム教国に戻るべきだ」「殺されるべきだ」などと主張して抗議運動を行った。
ザブル州のトップ聖職者Abdulrahman Jan師は、「今回の惨事は大変な事件であり、アフガニスタン国家としての大きな屈辱です」と述べた。
ラーマン氏がかつて在住していたドイツは、イタリア政府の今回の対応を賞賛した。政府広報官のトーマス・ステッグ氏は、「イタリア政府の行動は大変な人道的貢献であり、我々は今回のイタリア政府の行動を大変嬉しく思う」と語った。
伊内務大臣のGiuseppe Pisanu氏は、28日にラーマン氏の保護を保証するにはラーマン氏の難民ステータスに関わるすべての保護と支援が必要であると述べた。
イタリアはアフガニスタンと密接な関係がある。イタリア政府は以前、アフガニスタン前国王Mohammed Zaher Shah氏とその家族がローマに30年間滞在することを許可した。この元王家はタリバン政権が崩壊した後カブールに帰還した。
イタリアは米国主導の下、2001年にアフガン政府債間を支援した後、イタリア軍隊をアフガニスタンに派遣している。現在アフガニスタンには1775人のイタリア軍が駐在している。
今現在のラーマン氏の心配は、13歳と14歳になる娘2人の身の安全である。現在は祖父母と共に暮らしているが、ラーマン氏はドイツに9年間滞在した後、2002年にアフガニスタンに帰国したときから娘たちの保護監督場所を探していた。しかし、その問題はいまだ解決に至っていない。
この問題について警察と相談している際に、ラーマン氏がキリスト教徒で聖書を持っていることが発覚、直ちに彼は逮捕され、告訴された。