英国国教会(=英国の聖公会)が11日、ヨーク市で総会を開催、女性聖職者の主教就任を男性と同様に認める議案を賛成票多数で可決し、女性主教誕生に向けて歴史的一歩を踏み出した。同教会が公式サイトで12日までに発表した。手続きが順調に進めば、2010年には初の女性主教が誕生する見通しだ。
英国国教会では、1994年に女性司祭の叙任が認められたが、主教職は許可されていなかった。同年に約1,500人の女性司祭が按手を受け、その後毎年、約100人から200人の女性司祭が誕生している。
女性主教議案(賛成2/3以上で可決)は、主教会議で賛成41・反対6で可決、司祭会議で賛成167・反対46で可決、信徒会議で賛成159・反対75の僅差で可決された。
この議案を提出したサウスワーク教区のトム・バトラー主教は総会後、「この総会は英国国教会の霊的姿勢を試みる機会として注目されていた。決議までの過程に軽率さやあいまいさは感じられなかった」と述べた。
女性支援者たちが勝利に沸く一方で、この決議が教会の分裂の新たな火種となるのではと懸念する聖職者もいる。
女性主教に反対するジョン・ハインド・チチェスター教区主教は「適切な議論を行うには時間が少なすぎた」と語った。ハインド主教は今年3月、女性主教に関するレポートを出版している。このレポートでは、女性主教について「問題は女性主教の是非に留まらない。教会とは何か、そこ(教会)での主教とは何か、女性主教に反対することは何を意味するかについて議論が必要だ」としている。
ハインド主教の主張に対し、ロワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教は「議論は極めて正当に行われた」と評している。神学的説明がさらに必要として、法的な手続きと同時進行で取り組む姿勢を明らかにした。
英国国教会は94年以降、女性司祭の就任先教会を女性司祭と教会との合意を得た上で決定している。女性司祭の指名を受けた教会は、教会総会を開催し、投票による多数決で就任の可否を決定する。教会の担当教区が女性司祭に反対する場合、女性司祭の按手式は他教区から賛成派の主教が出向いて行われるほどの徹底振りだ。教区主教が女性司祭に賛成する一方で教会が拒否した場合、無牧を避けるために他教区の男性主教がその教会を担当することもある。このような教会は、賛成派主教の在任中、本来の教区から一時的に外され、カンタベリーまたはヨーク大主教の管轄下に入る。
こうした措置には、女性の聖職就任に反対する司祭の教会離脱を防ぐ目的がある。だが、賛成・反対両派の間に葛藤を残すと批判の声もあり、根本的な解決を求めて策を講じる必要性が指摘されている。女性聖職者の是非をめぐり、これまでに反対派司祭400人以上が同教会を去っている。