スペイン下院議会が21日、同性結婚を認める法案を可決した。サパテロ首相率いる社会労働党政権は、国民の1割(約400万人)を占めるとされる同性愛者の要望に押されて昨年秋頃から準備を進めてきた。この法案が法律化されれば、スペインは欧州で3番目の同性婚認可国となる。米クリスチャンポスト紙などが22日報じた。
法案は賛成183票、反対136票で可決。法案成立には上院の可決を待たねばならないが、報道各社は「可決の見通し」と報じている。認められれば、今年6月にも法案が成立される。同性婚の2人は男女の夫婦と同様、相続、離婚、養子縁組、年金受給などの権利を持つようになる。
同国の保守派教会やカトリック団体からは「同性結婚の制度化は共通の良識を崩壊させる」と批判の声があがっている。野党も「社会一般の価値観に反する強行採決」と批判した。
スペイン国民の94%はカトリック教徒とされる一方、去年の統計では国民の70%が同性結婚に賛成していた。
故ヨハネ・パウロ2世は昨年、スペインの世俗化が進行し、宗教の自由の制限、宗教の軽視、無神論などを支持する論調が支配的になっているとの警告を発していた。