米国でリベラルな教会として知られるキリスト合同教会(オハイオ州クリーブランド)が製作した教会CMを米CBS、NBCテレビが「神が同性同士の“結婚”を容認するかのような印象を与える」として放映を拒否していたことが2日、分かった。南部バプテスト神学校のアルバート・モーラー学長は同日朝、ABCニュース番組内のコーナーに出演し、「手の込んだプロパガンダだが、キリスト教への誤解を招く悪魔的な虚言だ」と語った。
モーラー氏は「たしかに、イエス・キリストは、失われた人たちを探し出して救うために来られた。だが、姦淫の場で捕らえられた女に対して『あなたを罪に定めない。行きなさい』と言ったキリストは、罪深い生活を続けなさいとは言わなかった。むしろ主は、私たちを罪から救い出し、あってはならない姿のままでいさせなかった。このことが、私たちを捕らえるすべての罪に対する勝利であり、同性愛はその罪の一つだ」と説明した。
問題のCMは、今月1日から、ABCファミリー、ディスカバリーチャンネル、FOXテレビなどで放映されていた。コマーシャルは30秒間。頑強な警備員2人が礼拝堂の入り口に立ち、同性カップルを感じさせる男性2人が礼拝堂に入ろうとするところを追い返すというもの。後ろに並んでいた黒人の2人組の子ども、中南米系の少女も次々に「だめだ」と追い返した後、上品に着飾った白人家族だけを中に入れる。その後、画面に「イエス様は誰も追い返したりしなかった。私たちもしません。」とテロップが表れ、最後「どのような人も歓迎します」との声で終わる。
モーラー氏の発言の後、キリスト合同教会のロバート・チェイス広報委員長は「CMはあくまで比ゆ的表現に過ぎない」と反論。「礼拝堂の入り口に警備員が立ちはだかる教会などあるわけがない。我々が主張したいのは、教会内にいる我々の存在ではなく、疎外され拒否された人たちの存在だ。こういった『壁』はたしかに存在する。我々は単に『あなた』を歓迎しますと言いたいだけだ」と述べた。
キリスト合同教会によると、CBSは放映拒否の理由について「このCMは同性カップルや他の少数民族に対する差別に言及している。また、同性同士の結婚については、大統領府が結婚を異性間のものと定義する憲法修正案を提出したばかり。このようなコーマシャルを放送協会が受け入れるわけにはいかない」と書面で説明した。
問題となったCMは、インターネット上で見られる(www.stillspeaking.com)。