イラクの首都バグダッドで16日未明、キリスト教会5か所で相次いで爆弾が爆発。死傷者はなかったが、教会施設が損壊した。教会を狙った連続爆弾テロとみられる。またAFP通信によると、バグダッドでは同日未明、病院とホテルの周辺でロケット弾が打ち込まれるなどのテロ事件が続発し、10人が死傷した。一部のメディアは病院とホテルの近くにもキリスト教会があったと報じており、砲撃は教会を狙った可能性もある。
特定の宗教を狙った卑劣な行為に、イラクではキリスト教徒の国外脱出が相次いでいる。今年8月のキリスト教会連続爆弾テロではキリスト教徒ら10数人が死亡、60人以上が負傷した。その後、イスラム武力勢力がウェブサイトを通じて犯行声明を出した。
イラクのキリスト教徒は人口の3%と日本より多いが、最少数派として迫害が絶えない。キリスト教会に対する一連の攻撃は、駐留外国軍とキリスト教を結びつけ共存を嫌うイスラム過激派による連続テロとみられる。フセイン政権崩壊後の混乱でイスラム主義が台頭しキリスト教徒に女性のスカーフ着用を求めるなど圧力が増した。15日からイスラム教の断食月に入り、イスラム教徒の宗教意識は最も高まっている。過激派による「異教徒排斥」に、米軍はイスラム過激派が隠れているとされるファルージャへの攻撃を再開し、過激派による活動の押さえ込みを狙う。