アリ神父は「現在私たちが直面している社会というのは、自由な社会ではなく、特定の価値観を私たちに植え付けようとするイデオロギーのある社会です。私たちが自由な社会に生きているため、良心は当然尊重されるものだろうと思ってしまいがちですが、私たちはもはやそのような自由な社会の中に暮らしているわけではありません」と述べた。
アリ神父によると、世俗的な世界観が人間のいのちへの尊厳を弱小化し、胎児や病気の者、障害者・高齢者および家族を蔑むようになってきているという。また胎児への尊厳は、科学的需要や営利目的、その他人間の尊厳を説明できない相対的な世界観によって損なわれていると指摘し、「もし人生の最初期における人間のいのちを奪うことが許されるならば、人生の最後期や中間期においても同じく許されることになるのではないだろうか。もし私たちのシグナルに患者が反応を示さなかったら、生命維持装置を外してよいのだろうか」と疑問を投げかけた。
英国内では、末期症状の患者に対し、緩和ケアができるにもかかわらず、そのような患者は安楽死させた方が良いという声も上がり議論がなされている。また結婚についても公的な教義に縛られず、あるべき結婚の在り方からどんどん離れた形態をとるようになってきている。
アリ神父は、聖書的価値観の回復が行わなければ、英国のような大きな社会は機能しなくなると懸念し、「過去と将来の運命を共にする感覚を人々に与えてひとつになれるような大きな物語がなければ、大きな社会は成り立たないだろう」と警告した。
アリ神父は「英国人が聖書に書かれてあるユダヤキリスト教の価値観を放棄し、道徳的・精神的な空洞を作ってしまうようになれば、あるいはイスラム教の政治・宗教システムが広まるようになれば、英国にとって『悲劇』となるだろう」と懸念を示している。
アリ神父は「聖書の教えを回復し、英国の過去から現在までの物語を聖書的価値観によって回復させ、また現在進行中の議案決定の際にも聖書的価値観が反映されるようにさせなければならない。議会で制定される法案で、道徳的・精神的判断基準がなにもない法案はほとんどない」と述べた。