【CJC=東京】宗教は暴力と不正の根源、と無神論者の批判は昔からのもの。キリスト教については、旧約聖書の多くの記述が現代の価値観と相容れないと指摘する。
神学者ポール・コパーン(パームビーチ・アトランチック大学教授)がこれら批判に答え「神は倫理の怪物か=旧約の神のメーキングセンス』(ベイカー・ブックス社=米ミシガン州エイダ)を出版した。カトリック系ZENIT通信が報じた。
哲学者リチャード・ドーキンズが神を「倫理の怪物」とし、ねたみ深く、卑劣で、不正、執念深い、と描写したのを受け、書名にも取り入れた。
批判する側では、クリストファー・ヒッチンズが、旧約聖書は人身売買や奴隷、虐殺を正当化している、と言い、ダニエル・デネットは、神が自らを崇められることに貪欲で、人を自分の姿に似せて創造したことで、虚栄心を露わにした、と言う。
コパーンは、自分の姿に人類を創造することで、神は実際にその優しさを示し、わたしたちば神と結び付き、理性的に考え、創造的であることを可能にした、とする。「これは特権であって束縛ではないのだ」と言う。
エゴイズムの現われなどでは全くなく、神を崇めさせようとされるのは、究極の現実からわたしたちを離れさせないことを望まれていることの反映だ、とコパーンは説明する。
さらに神の謙虚さをキリストの受肉に見ることが出来る、キリストは人の形をとり、わたしたちのために十字架上で死なれた、とコパーンは指摘している。