国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)は、2013年の献学60周年を記念して、今年4月から16年3月までの5年間を「献学60周年事業期間」と定めて各種の記念事業を実施する。「ダイアログ(対話)」を統一テーマに、同大の教育理念であるリベラルアーツの深化を目指す。
同大は1949年6月、キリスト教精神に基づく総合大学として、御殿場のYMCA東山荘に集まった日米のキリスト教指導者によって創立された。53年に文部省から設置認可を受け、同年4月、日本で最初の4年制教養学部大学として発足した。
ここ数年は、さまざまな改革に取り組んでいる。08年度には、6学科に分かれて入学するシステムを廃止し、入学してから専攻を決めるメジャー制を導入。10年度には大学院で、従来の4研究科をアーツ・サイエンス研究科に統合した。また、キャンパスには昨年、120人規模の新学生寮「欅(けやき)寮」と複合施設「東ヶ崎潔記念ダイアログハウス・大学食堂」を建設。今年3月までに2棟の学生寮を新たに建設する予定だ。
記念事業では、アカデミック・プログラムとして、(1)大学の過去・現在・未来を学ぶ科目群の整備、創設による「大学の使命・創業者との時空間を超えた対話」(2)学際的な一般教育科目の設置による「分野間の対話」(3)リベラルアーツの枠組みの中での自然科学教育の発展による「少人数教育における教員・学生間の対話」(4)カリキュラムの充実による「文明間・宗教間の対話」(5)東アジア、特に日中韓の相互理解実践教育の推進による「東アジアにおける対話」に焦点を当てる。
これにあわせて、献学60周年記念教授職(仮称)を新設し、国内外から第一級の研究者を招聘する。アカデミック・プログラムに関連した講演会、研究発表会などの各種イベントも検討中だ。加えて、これまで培ってきた海外校との関係を軸に質の高い国際的な学術交流を進めるなど、国際交流プログラムの充実も図る。
また、学内の対話促進を目的としたキャンパス施設の充実も記念事業の大きな柱だ。新設した東ヶ崎潔記念ダイアログハウスなどの活用はもちろん、長い将来にわたってキャンパスの自然環境の保全と教学上の必要との調和を図る指針を示したキャンパス・マスタープランの策定作業も進める計画だ。
同大では記念事業期間中、これらの使途で44億円の記念募金を募集する。