アイルランド首都ダブリンで1月25日-31日にわたって開催された全聖公会主座主教会議において、ローワン・ウィリアムズカンタベリー大主教はアングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)が直面している危機についての認識を示した。
今回の主座主教会議には米聖公会トップのキャサリン・ジェファーツ・ショーリ首座主教の出席に反対して南半球にある司教区主座主教ら10数名が会議に欠席した。米聖公会では同性愛を認め、同性愛のパートナーをもつ聖職者の任命を認め続けており、コミュニオン内部の大部分から反感がもたれている。
ローワン・ウィリアムズ大主教は主座主教会議に欠席した主座主教らについて「毎日心に留めている」と述べた。主座主教会議では、欠席した主座主教の座席の上にろうそくが灯された。
欠席者が多数生じたにもかかわらず、ウィリアムズ大主教は今回の会議で幅広い分野の課題についてコミュニオン内の教会で多くの共有がなされ、主座主教常置委員会の役割を明確化するという希望に応えるものとなったとし、「コミュニオン内で危機的な状況が存在しているのは承知しており、誰もそれを否定できません。しかしそのような危機的な状況においても関係性は希薄に至らず、むしろよりコミュニオンと教会間で互いに心のこもった建設的な会議となりました」と述べた。
ウィリアムズ大主教は今回の主座主教会議に欠席したケニア大主教含む数名の主教たちと最近会っており、別に会議の予定があることも伝え、「会議に欠席された主教の方々との関係を疎遠にさせたいつもりはありません」と述べた。
ウィリアムズ大主教は主座主教常置委員会委員たちに対し、地域間の関係性を再構築してほしいという希望を伝えたが、同時にこれは「時間のかかる課題」であることも認め、「将来に対して何も明確なことは言えません。分裂がとても深刻なレベルで生じており、誰もそれを否定できません。しかし私たちがどのようにこの問題に取り組み、共に議論していくことができるかにあります。その点に関して主座主教会議の席で共に議論することのできない欠席者が多数生じたことを残念に思います」と述べた。
アングリカン・コミュニオン内の分裂に伴い、聖公会司教区や聖公会信徒たちの中でローマカトリック教会の特別司教区である属人的司教区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)に属するようになる傾向が高まっており、ウィリアムズ大主教もアングリカン・コミュニオン全体としてこの問題に取り組んでいくことの難しさを認め、「この問題は私たちに与えられた問題です。私たちが負わなければならない十字架の重荷の一部といえるでしょう」と述べた。
カトリック教会の特別司教区に入っている聖公会司教区・信徒たちについては「そのことがイエスキリストとコミュニオンのさらなる関係深化につながるのであれば、彼らを神様が祝福してくださるでしょう。しかし私は彼らとともに歩むことはできず、同意することはできません。しかし彼らがしっかりとした信仰と良心をもってその道を選ばれたのであれば、私がそれに対して異議を唱えることはありません」と述べた。
主座主教会議は先週生じたウガンダの同性愛者権利活動家殺人事件を非難する声明、婦女暴行を非難する声明、およびジンバブエムガベ大統領に対し、同国聖公会への迫害を中止するように呼びかける声明などが発表された。